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日銀、金融政策据え置きー次回会合で経済物価動向を再点検 (2)

更新日時
  • モメンタムが損なわれる恐れにより注意が必要な情勢
  • 海外経済の減速続き、下振れリスク高まりつつある

日本銀行は19日の金融政策決定会合で、長短金利操作付き量的・質的緩和の枠組みによる政策運営方針の維持を賛成多数で決めた。海外経済減速で物価2%目標に向けたモメンタム(勢い)が損なわれる可能性に一段と注意が必要とし、10月30、31日の次回会合で経済・物価動向を再点検する方針を示した。

  会合後に公表した声明文では、「海外経済の減速の動きが続き、その下振れリスクが高まりつつあるとみられる」と分析、物価の勢いが「損なわれる恐れについて、より注意が必要な情勢になりつつある」と警戒感を表明。経済・物価見通しを作成する次回会合で、「経済・物価動向をあらためて点検していく」とした。

  IHSマークイットの田口はるみ主席エコノミストは、日銀の再点検表明を受けて「10月の消費税の影響がどうなっていくかを見極め、必要であれば緩和する必要があるのか、判断をするポイントになってくる」と語った。

追加緩和念頭か

  過去には2016年7月の金融政策決定会合で黒田東彦総裁が「総括的な検証」の実施を指示し、その次の9月会合において検証を踏まえて、現行のイールドカーブコントロール政策が導入された経緯がある。

  農林中金総合研究所の南武志主席研究員は、経済・物価動向の再点検について「先行きは不透明感が強いので追加緩和を念頭に検証するということだ」と指摘。その上で「次回の決定会合までに為替や株が落ち着いていれば追加緩和なしで将来に備えることはある。ハードデータが悪化してないと追加緩和にはならないのではないか」との見方を示した。

  日銀は7月の前回会合で、海外経済を中心に経済・物価の下振れリスクが大きいとの認識を踏まえて「先行き物価安定の目標に向けたモメンタムが損なわれる恐れが高まる場合には躊躇(ちゅうちょ)なく追加的な金融緩和措置を講じる」とのコミットメントを新たに盛り込んでいた。

  金融政策運営は、現行のマイナス0.1%の短期政策金利と「ゼロ%程度」の長期金利目標を維持するとともに、指数連動型上場投資信託(ETF)と不動産投資信託(J-REIT)の買い入れ方針も据え置いた。

  また、「当分の間、少なくとも2020年春ごろまで、現在の極めて低い長短金利の水準を維持する」とした政策金利のフォワードガイダンス(指針)にも変更はなかった。

Bank of Japan Governor Haruhiko Kuroda Speaks At News Conference Following Rate Decision

日銀本店

Photographer: Kiyoshi Ota/Bloomberg

  ブルームバーグが48人のエコノミストを対象に実施した調査では、8割近くが今回の会合で金融政策が維持されると見込んでいた。

  欧州中央銀行(ECB)と米連邦準備制度理事会(FRB)が相次いで金融緩和を決めたこともあり、市場の一部では、今回の会合で日銀が追加緩和に動く、もしくは一段と積極的な緩和姿勢を示すとの思惑も出ていた。

  景気の総括判断は「基調としては緩やかに拡大している」との認識を据え置いた。米中貿易摩擦の激化や地政学リスクの高まりなどを受けて一段と不透明感が増している海外経済についても「減速の動きがみられるが、総じてみれば緩やかに成長している」との判断を維持した。

長短金利操作(賛成7反対2)
  • 短期金利:日銀当座預金のうち政策金利残高にマイナス0.1%適用
  • 長期金利:10年物金利がゼロ%程度で推移するよう国債買い入れ。金利は経済・物価情勢等に応じて上下にある程度変動し得る
  • 片岡剛士、原田泰両審議委員が反対
資産買い入れ方針(全員一致)
  • ETFとJ−REIT:保有残高がそれぞれ年間約6兆円、約900億円相当で増加するよう購入。市場の状況に応じて上下に変動し得る
フォワードガイダンスとコミットメント
  • 海外経済の動向や消費税率引き上げの影響を含めた経済・物価の不確実性を踏まえ、当分の間、少なくとも2020年春ごろまで現在の極めて低い長短金利の水準を維持することを想定
  • 先行き「物価安定の目標」に向け たモメンタムが損なわれる恐れが高まる場合には、躊躇なく、追加的な金融緩和措置を講じる

  午後3時半に黒田東彦総裁が定例記者会見を行う。決定会合の「主な意見」は9月30日、「議事要旨」は11月6日にそれぞれ公表される。

(5段落目にエコノミストコメントを追加して更新しました)
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