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話題株:原油急騰で動く日本株、先行き握るのは生産回復と攻撃の継続

  • 資源開発や石油元売り銘柄は上昇、海運・塗料メーカー株は下落
  • NY原油は74ドルまで上昇も、更なる攻撃あれば-楽天証券の吉田氏

経済活動に大きな影響を与える原油の相場が急騰し、関連株が動いた。資源開発や石油精製する日本企業には買いが入る一方で、原料高になる塗料メーカーは下落。産油国の情勢懸念が出た海運株には売りが広がった。市場では先行きを不安視する声が出ている。

  連休明け17日の東京株式市場では、原油プラントを開発する国際帝石の上昇率が一時10%を超えた。日揮も大幅高となり、石油元売りのJXTGHも上昇した。サウジアラビアで14日に石油施設が複数の無人機(ドローン)による攻撃を受け、生産量が半減した。ロンドン市場のブレント原油先物は取引開始直後には約12ドル上昇と、過去最大の上げを記録。原油急騰の余波が広がった。

  みずほ証券の新家法昌シニアアナリストはリポートで、原油高は上流事業の利益の押し上げ要因となり、石油精製ではタイムラグ要因から石油製品マージンが拡大か在庫評価益改善につながるとみる。特に国際帝石はイクシスの通期でのフル操業を見込む20年12月期は油価上昇時の業績押し上げ影響は大きいとの見方を示した。

NY原油先物10月限の相場

  半面、原油を主な原料に塗料を生産する日本ペイントホールディングスや関西ペイントは下落。野村証券の岡嵜茂樹アナリストは電話取材で、塗料の製造に必要な原油の相場が急騰したため、採算悪化を懸念した売りが広がっていると話した。中東の地政学リスクが意識された海運関連株も売りが出て、川崎汽船や日本郵船、商船三井の株価が下落した。

  もっとも日本時間17日午前で上昇は一服している。16日のニューヨーク市場でウェスト・テキサス・インターミディエート(WTI)先物10月限は8.05ドル(15%)の1バレル=62.90ドルをつけたが、足元では一時61ドル台まで下げて落ち着き始めている。立花証券の下川寿幸アナリストは海運株について、買い戻しの局面にあるなかで短期売買を行う投資家は目先の利益確定のために売っているが、中長期的な保有者にとっては一過性の動きにすぎないとみる。

  それでも、製造業にとってコスト高となる原油高が続くとの見方もある。みずほ証券の新家氏は、石油輸出国機構(OPEC)の原油余剰生産能力の約7割を有するサウジの供給体制に不安要素が残る場合、原油価格水準が従来に比べて高い水準で推移する可能性は出てきている状況と指摘する。

  楽天証券の吉田哲アナリストは電話取材で、生産量の回復が想定を超えて進めば安心感が広がり原油価格は反落するが、回復に数カ月以上かかるようであれば供給懸念が高まりさらに上昇することもありえると話した。サウジアラムコは迅速な生産再開は難しいとの悲観的見方を強めており、アブカイクの石油処理施設の全面復旧には数週間ないし数カ月を要する見込みだ。

  イランから支援を受けているイエメンのイスラム教シーア派系武装組織フーシ派は、今後もサウジアラビアの石油施設を標的にすると表明した。吉田氏は更なる攻撃があった場合は供給減の不安をさらに高め、ニューヨーク原油先物は年初来高値の65ドル台を大きく超え、あるいはさらに18年10月初めに付けた74ドル台に近づく可能性があるとの見方を示した。OPECプラスは全加盟国に減産を行うよう求めたこともあり売り材料は少ないという。

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