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米金融当局は日欧中銀とは一線、トランプ大統領マイナス金利要求でも

  • トランプ大統領、政策金利をゼロかそれ以下に引き下げ要求
  • マイナス金利は銀行に打撃、FRBの権限逸脱の恐れも
President Trump Announces Nominee For Chair Of The Federal Reserve
Photographer: Drew Angerer/Getty Images North America
President Trump Announces Nominee For Chair Of The Federal Reserve
Photographer: Drew Angerer/Getty Images North America

米連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長ら金融当局者は、欧州や日本に追随してマイナス金利政策の領域に踏み込むことに難色を示している。トランプ大統領が望もうとも、米経済がどれだけ悪化しようともだ。

  そうした行動が違法と見なされる可能性があるだけではない。銀行やマネー・マーケット・ファンド(MMF)に及びかねない混乱を考えれば、どれほどの経済的利益が生じるかも不透明だからだ。

  ブレイナードFRB理事は6月にヤフー・ファイナンスとのインタビューで、「マイナス金利が当局の政策措置の非常に有用な部分になるとは思わない」と述べた。

Fed back in rate-cutting mode but unlikely to join negative peers

  トランプ大統領は11日にツイッターで、米金融当局が政策金利を「ゼロかそれ以下に引き下げる」よう呼び掛け、そうすれば米政府が債務の利払いコストを「大きく引き下げる」ことができると述べた。欧州中央銀行(ECB)は12日に中銀預金金利を0.1ポイント引き下げマイナス0.5%とすると予想されている。

  米失業率が約半世紀ぶりの低水準にあり、経済は依然拡大している中、米金融当局が政策金利をゼロ以下に大きく引き下げる状況には程遠い。それでも来週の連邦公開市場委員会(FOMC)では、低インフレや世界経済成長の減速に対応しフェデラルファンド(FF)金利誘導目標を0.25ポイント引き下げ1.75ー2%のレンジとすると広く予想されている。

  もっと妥当な疑問は、米経済がリセッション(景気後退)入りした場合に米金融当局が金利をマイナス圏に押し下げるかどうかだ。政策当局者の公式・非公式見解からみて、答えは恐らく「ノー」だろう。

債券購入

  当局はその代わり、大規模債券購入や政策金利のフォワードガイダンスといった他の手段を通じた景気支援策を検討するだろう。ジョンズ・ホプキンス大学教授でFRB元エコノミストのジョナサン・ライト氏は、マイナス金利は「当局が行う行動のリストでかなり低い位置にある」と述べた。

  得るものが限られる一方、政治的な影響は大きくなりそうだ。2008年に政策金利がゼロ-0.25ポイントのレンジに引き下げられ7年間維持された時期には、預金者を代弁する議員から度々批判された。

  米当局は08ー09年の金融危機時とその後に金利をゼロ以下に下げる可能性を研究したが、「欠陥がある」と判断したことを、クラリダFRB副議長は今年3月にフランス銀行(中央銀行)のイベントで明らかにしている。

  FRBのスタッフは10年8月の文書で、米国でマイナス金利を設定する法的権限が当局にあるかどうか疑問を呈した。08年にFRBは議会から民間金融機関の超過準備への付利(IOER)を支払う権限を認められたが、超過準備にマイナス金利を設定することにも権限が及ぶかどうかは不明確だ。この文書では、マイナス金利が銀行やMMFに及ぼす影響への懸念も示された。

  これは一部の政策当局者が引き続き慎重になる理由だ。ダラス連銀のカプラン総裁は2月にマイナス圏への利下げの可能性について問われた際、「実行可能な選択肢かどうか私は懐疑的だ」とコメント。「大きな心配」は「金融システムおよび金融仲介の健全性と正常な機能への影響」だとダラスでのイベントで述べた。

Below Zero

Five central banks with negative interest rates

原題:Fed Loath to Follow ECB on Negative Rates Despite Trump’s Demand(抜粋)

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