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Photographer: Bloomberg/Bloomberg

「合意なき離脱」最悪シナリオを英政府公開-ジョンソン氏に逆風

更新日時
  • 予想される最大6カ月の遅れに備える医薬品の備蓄は現実的でない
  • 政府に交渉の席に戻ることを求める強烈な圧力が生じかねないと警告
An anti-Brexit demonstrator waves a combined British Union flag, also known as a Union Jack, and European Union (EU) flag outside the Houses of Parliament in London, U.K., on Tuesday, Jan. 29, 2019. The pound is vulnerable to swings Tuesday as traders tweak positions ahead of votes by lawmakers to change Theresa May's Brexit deal.
Photographer: Bloomberg/Bloomberg

英国が合意のないまま欧州連合(EU)を離脱する場合に想定される最悪のシナリオをジョンソン政権が公表した。「合意なき離脱」に備える危機管理計画「イエローハンマー」はこれまで非公開とされてきたが、議会が命じる開示期限の11日遅くに概要が公開された。

  5ページにまとめられた計画要旨は、合意なき離脱となる場合には、食料品と燃料の不足、サプライチェーンの途絶、治安の乱れ、交渉の席に戻ることを求める強烈な圧力が生じかねないと警告した。今回公表されたシナリオは、英国が合意なき離脱に対処できるというジョンソン首相の主張の土台を揺るがすものであり、10月31日の期限までに「決死の覚悟」でEUを離脱するという首相の戦略に対する反対の動きにさらに拍車を掛けると予想される。

  最大野党・労働党で「影のEU離脱担当相」を務めるケア・スターマー議員は電子メールを通じて発表した声明で、「政府がこれらのあからさまな警告を無視し、国民が証拠を目にしないようにしてきたことは全く無責任だ。ボリス・ジョンソン氏は、合意なき離脱の結果について国民に不誠実だったことを今すぐ認めるべきだ」とコメントした。

  政府の文書で示された主なシナリオは次の通り。

  • 合意なき離脱の初日において、ドーバー海峡を渡ろうとするトラックの最大85%はフランスの税関手続きを通過する用意がないと考えられ、英ドーバー港と仏カレー港経由の物流が遮断される恐れがある。貨物輸送量は3カ月かけて離脱前の水準の50-70%を回復すると想定
  • 医薬品は遅れの深刻な長期化に「特に脆弱(ぜいじゃく)」。一部の医薬品は備蓄が不可能で、それ以外も「予想される最大6カ月の遅れ」に備える備蓄は現実的でない
  • 国境を越えて行われる一部の英金融サービスは停止が見込まれる
  • 全国規模で抗議行動が起き、そのために警察力が奪われることになる
  • アイルランド国境にとって、合意なき離脱に伴う取り決めのない状態は「持続不可能」であり、英政府は数日ないし数週間のうちに交渉の席に戻らざるを得なくなろう
  • 一部の生鮮食品の供給が減り、品ぞろえも悪くなるだろう
  • 地域の交通の混乱が燃料の流通に影響も
  • EUの関税が直ちに課されることになれば、アイルランドとの貿易が「著しく阻害」され、農業・食料セクターが最も大きな打撃を受けることになろう

原題:U.K. Warns of Protests, Chaotic Border Scenes in No-Deal Brexit(抜粋)

(労働党の影のEU離脱担当相のコメントなどを追加して更新します.)
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