建国70年控えた中国、海外投資家に予想外の贈り物-効果不十分か
Bloomberg News-
貿易協議を巡るセンチメントも後押し-CMCマーケッツのレン氏
-
投資枠は拘束力ある制約ではなかった-ゴールドマンのラウ氏

中国が外国人投資家に設けていた株式・債券投資枠を撤廃し、10月1日の建国70年を控えて投資家にとっては予想外の贈り物となった。
国家外為管理局(SAFE)が10日発表した適格外国機関投資家(QFII)、人民元適格外国機関投資家(RQFII)両制度における外国人の投資制限廃止は象徴としては十分だが、そのインパクトは不十分とアナリストらはみている。
ただ建国70年の式典を間近に控え、本土株の回復を支え、10年ぶりの安値水準に近い人民元を安定化させる可能性もある。先週末には中国人民銀行(中央銀行)が預金準備率の引き下げも発表。本土株の指標、上海総合指数はここ1カ月で約9%上昇と、世界的にも好調だ。

CMCマーケッツの市場アナリスト、レブ・レン氏は「前向きなシグナル」だと評価。「中国は自国の資本市場をさらに開放すると言ってきたが、10月を前に実行した。貿易協議を巡るセンチメントも後押しする」と述べた。
ゴールドマン・サックス・グループの中国株チーフストラテジスト、キンガー・ラウ氏はQFII改革の大幅強化のように見えると指摘。その上で、これまでの投資枠は拘束力のある制約にはなっていなかったとし、短期的な資金動向は引き続きファンダメンタルズやイベント、銘柄組み入れなどにより大きく左右されるとの見方を示した。
申万宏源集団の国際ビジネス部門ディレクター、ジェリー・アルフォンソ氏は官僚主義的な手続きを減らすとともに、資本市場を開放し続けているとのメッセージを強めるためのジェスチャーだと分析。本土株にとって短期的に大きなインパクトをもたらす公算は小さいと話した。
スタンダードチャータード銀行の大中華圏・北アジア担当チーフエコノミスト、丁爽氏は「今回の動きは象徴的な意味合いが強く、大規模な資金流入を促すことはない」としつつ、「建国70周年が近づき、米国との貿易協議で前進が乏しい中、中国当局からの前向きな意思表示となった」と語った。
原題:China Gives Stock Bulls Surprise Gift Ahead of 70th Anniversary(抜粋)