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嵐の夜の弁明から24時間、日産CEOが辞任に追い込まれるまで

更新日時
  • 5時間に及ぶ取締役会、最後の1時間で全取締役が辞任支持-関係者
  • 西川氏の後継候補には内田、関、スキラッチ各氏らの名前が挙がる

「悪いことはしていない」。日産自動車の西川広人社長兼最高経営責任者(CEO)は台風15号が勢力を強めて関東地方に接近していた8日午後9時半すぎ、都内の自宅前で打ちつける激しい風雨にもかまわず、集まった記者に話した。

Nissan Board Brief Media After CEO Saikawa Says He's Ready To Resign Once Successor Is Found

日産の西川社長(9日)

Photographer: Toru Hanai/Bloomberg

  株価連動型報酬の問題については故意にやったことではなく、このことを理由に辞任する考えはないと述べる一方でカルロス・ゴーン前会長の不正を見抜けなかった責任はあり、早期に後進にトップの座を譲りたい、と従来公言してきた考えを繰り返した。期限は言及せず「非常にいい形でバトンタッチすべきと思っているので、バトンタッチするまでにきちんとやっていこうと思っている」と当面はCEOを継続することも示唆していた。

  それから約24時間後の9日夜、西川氏は横浜市の本社で記者会見し、自らの口から1週間後の16日付で社長CEO職から退くことを明らかにしていた。

  同日午後3時から始まった取締役会は約5時間に及び、議論は紛糾。木村康取締役会議長は会見で報酬問題について違法性はないと確認されたとした上で、ガバナンスの明確化へ「取締役全員一致で」辞任を勧告し、西川氏が了承したと説明した。西川氏は取締役会に促されての現時点での退任は想定より「一番早い方の節目」となったと話した。

  西川氏を取り巻く状況にこの間、どのような変化があったのか。

取締役会の攻防

  西川氏の報酬問題はゴーン被告とともに金融商品取引法違反の罪で起訴されたグレッグ・ケリー前代表取締役が6月発売の月刊誌文芸春秋のインタビューで問題提起。これを受けて社外取締役らの指示で社内調査が行われていた。

  関係者によると、調査結果はまず今月4日に日産の社外取締役らで構成する監査委員会で報告された。その後、この問題がメディアで報道され、西川氏が5日朝に報道陣に対して報酬の仕組みや事務局の手続き上の問題として本来の報酬との差額を会社に返納して幕引きを図ろうとしたあたりから西川氏への風当たりは強まっていった。

  それ以降、西川氏以外の複数の幹部も類似の手法で報酬を多く受けていたことや報酬問題の内部調査の責任者が退社する方向となったことなどが相次いで報じられた。報酬問題との関連は不明だが起債予定の2500億円の社債の発行が延期となるなど業務への影響も出始めたこともあり西川氏を巡る状況は厳しさを増していった。

  関係者によると、9日の取締役会が始まった時点でもまだ西川氏への対応は確定しておらず、西川氏も抵抗を示した。しかし議論が進むにつれて日産がガバナンス改革に取り組む中、問題をうやむやにすべきではないという意見が取締役の間で広まり、全員一致での辞任勧告の方針が固まった時には会議終了まで1時間を切っていたという。

  日産の広報担当者は西川氏や取締役会を巡る出来事に関してコメントを控えた。

  日産の11日の株価は続伸。一時6週間ぶりの高値となる前日比3.1%高の719.2円まで上昇した。前日は3.7%上昇し市場は西川氏のCEO退任を好感している。

後継者は?

  日産は西川氏の後任として山内康裕最高執行責任者を暫定的に充て、正式な後継者を10月末までに決める方針を明らかにした。

  指名委員長を務める豊田正和取締役は後任CEO選びには6月から着手しており、当初の100名ほどの候補者から現在では10人程度に絞り込まれているという。女性や外国人を含めて可能性があると述べた。

  関係者によると、後任候補として専務執行役員の内田誠氏や関潤氏などを推す声もあるという。かつて副社長を務め、今年退社していたダニエレ・スキラッチ氏も復帰して就任する可能性もあるという。

  

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