9月9日の海外株式・債券・為替・商品市場
Bloomberg News欧米市場の株式、債券、為替、商品相場は次の通り。
◎NY外為:ドル、逃避先通貨が下落-英EU離脱巡る懸念後退
9日のニューヨーク外国為替市場では薄商いの中、ドルや円、スイス・フランが下落。英国が合意なしで欧州連合(EU)を離脱するとの懸念が後退し、リスクセンチメントが改善した。ドイツによる追加財政支出の可能性が伝えられ、ユーロは持ち直した。
- ブルームバーグ・ドル・スポット指数は0.1%低下
- ヘッジファンドやその他大口投機家によるドル・ロングの巻き戻しが影響した可能性がある
- スイス・フランは主要10通貨のうち対ドルの下落率が最も大きかった
- 米中貿易協議に対するセンチメントの改善や、中国人民銀行による預金準備率引き下げの発表、先週のパウエルFRB議長発言などを背景に逃避先通貨が下落した
- ニューヨーク時間午後4時59分現在、ドルは円に対しては0.3%高の1ドル=107円24銭
- 米国債利回りの上昇を背景に、ドルは遅い時間に107円27銭で日中高値をつけた
- ユーロはドルに対して0.2%高の1ユーロ=1.1048ドル
- ポンドはドルに対し0.5%高の1ポンド=1.2346ドル。英議会は、合意なきEU離脱に備えた対応策の公表を政府に義務付ける動議を可決
- 合意なきEU離脱を阻止する法案は正式に成立。これで「政治的な騒動がいくらか沈静化し、合意なき離脱のリスクが多少は低下したと投資家は感じるだろう」と、スコシアバンクのチーフ為替ストラテジスト、ショーン・オズボーン氏はコメント
欧州時間の取引
ドル指数が2週間ぶりの低水準近くで推移。予想を下回る米雇用統計を受け、米金融当局が月内に追加利上げに動くかに市場の注目が移った。ジョンソン英首相がEU離脱に対する強硬姿勢を和らげているとの見方が広がり、ポンドは持ち直した。
原題:Dollar, Havens Slide as Hard-Brexit Fears Subside: Inside G-10(抜粋)
Dollar Pressured as Fed in Focus; Pound Rallies: Inside G-10
◎米国株・国債・商品:S&P500種ほぼ変わらず-ヘルスケア安い
9日の米株式市場では、S&P500種株価指数がほぼ変わらず。午後は軟調な展開が続いていたが、終盤に下げを縮めた。米国債相場は下落し、利回りが上昇した。
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このところ上昇していたヘルスケア銘柄を中心に下落。一部アナリストが警鐘を鳴らしたことが手掛かり。ゴールドマン・サックスのアサド・ハイダー氏は「8月の議会休会が終わり、向こう数週間に医薬品価格に関するニュースが大量に出てくる可能性がある」と指摘した。大型ハイテク株も下げた。また米10年債利回りが上昇して1.6%を上回る中、不動産や公益など配当利回りの高い銘柄が売られた。
フォート・ピット・キャピタル・グループのチャーリー・スミス最高投資責任者(CIO)は、「米国債市場にやや反転の動きが出ている状況に、一部のモメンタム投資家は不安を抱いたようだ」と分析した。
S&P500種株価指数は前週末比ほぼ変わらずの2978.43。ダウ工業株30種平均は38.05ドル(0.1%)高の26835.51ドル。ナスダック総合指数は0.2%下落。米国債市場では、ニューヨーク時間午後4時59分現在、10年債利回りが8ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)上昇して1.64%。
ムニューシン米財務長官はこの日、米国と中国は貿易協議で「大きく前進した」と述べた。
GW&Kインベストメント・マネジメントのポートフォリオマネジャー、アーロン・クラーク氏は電話取材で、「貿易を巡るセンチメントが相場の細かな上げ下げに影響している」と述べた。
ニューヨーク原油先物相場は大幅上昇。サウジアラビアの新エネルギー産業鉱物資源相が、石油輸出国機構(OPEC)と非加盟産油国による減産継続を示唆したことが背景にある。サウジのエネルギー相に新しく任命されたアブドゥルアジズ・ビン・サルマン王子は、同国の石油政策が劇的に変化することはないと述べた。ニューヨーク商業取引所(NYMEX)のウェスト・テキサス・インターミディエート(WTI)先物10月限は1.33ドル(2.4%)高の1バレル=57.85ドルで終了。ロンドンICEの北海ブレント11月限は1.05ドル上げて62.59ドル。
ニューヨーク金先物相場は下落。ニューヨーク商品取引所(COMEX)の金先物12月限は4.40ドル(0.3%)安の1オンス=1511.10ドル。
原題:Stocks Close Mixed as Sovereign Debt Yields Surge: Markets Wrap(抜粋)
Oil Gains as New Saudi Minister Signals OPEC+ Cuts to Continue
◎欧州債:イタリア債中心にユーロ圏国債が下落、英国債も安い
9日の欧州債市場でイタリア債が下落。ユーロ圏の他国債を下回るパフォーマンスとなった。投資家はECBが週内に開く金融政策会合で量的緩和を決定するとの見通しを後退させている。英国債も軟調で、ドイツ債や米国債よりも大きく下げた。英国が合意なくEUを離脱する可能性は低下したと受け止められている。
- イタリア債はベアスティープ化。10年債利回りは8ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)上昇して0.96%。ドイツ債とのイールドスプレッドは2bp拡大した
- ドイツ債もベアスティープ化。ドイツ10年債利回りは一時7bp上昇してマイナス0.57%と、1カ月ぶりの高水準をつけた
- 英国債はベアスティープ化。10年債利回りは一時10bp上昇して0.60%。同国ではこの日、合意なきEU離脱を阻止するための法が成立した
- ドイツ10年債利回りは7bp上昇してマイナス0.57%、フランス10年債利回りは7bp上げてマイナス0.27%
- ユーロ参加国の国債利回りとスプレッドの一覧はこちらをクリックしてください
原題:Italy Leads Euro-Area Bond Losses, Gilts Drop: End-of-Day Curves(抜粋)