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【先週の新興国市場】リスクテーク復活、貿易協議の再開へ期待

  • 米中が10月にワシントンで協議-実質的な進展あるかはどうか不透明
  • 9月利下げ観測、FRB議長発言や8月の米雇用統計が後押し

新興国市場の株式と通貨は週間ベースで6月以来の大幅高となった。米中貿易協議の進展や今月に米利下げが実施されるとの期待、香港での混乱の沈静化を背景にリスク選好が高まった。チリや中国、ロシアの中央銀行は利下げもしくは預金準備率の引き下げを通じて金融政策を緩和した。

  9月6日終了週の新興国市場の主なニュースは以下の通り。

主なニュース:

  • 米連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長は、「景気拡大を維持するため引き続き適切に行動する」と表明。8月の米雇用統計で非農業部門雇用者数は13万人増と、伸びがエコノミスト予想を下回った。これらを受けて9月の25ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)利下げへの市場期待が高まった
    • ボストン連銀のローゼングレン総裁は米経済はリスクが明らかに高まっているものの、依然として「比較的堅調」なままだと述べ、今月の連邦公開市場委員会(FOMC)で利下げする必要性を納得していないことを明らかにした
  • 米供給管理協会(ISM)が発表した8月の製造業総合景況指数は49.1だった。市場の予想外に低下し、3年ぶりに活動縮小を示した。受注や生産、雇用の縮小で全体が押し下げられ、2016年1月以来の水準に落ち込んだ
    • 一方、5日発表の8月の非製造業総合景況指数は前月から上昇し、市場予想を上回った。8月の米民間雇用者数は4カ月ぶりの大きさで増加し、7月の米製造業受注は前月比1.4%増で市場予想を上回った
    • 6日発表の8月米雇用統計によると、雇用者数の伸びは市場予想に届かなかった。貿易を巡る不確実性と世界経済の成長軟化が見通しを曇らせている
  • トランプ米大統領は2020年11月の大統領選挙前に貿易合意を取りまとめるよう中国に促す考えを示し、政権が2期目に入った場合の通商交渉は中国にとってさらに困難なものになると述べた
    • 中国と米国は、関税合戦を終わらせるための高官同士の対面の協議が数週間内にワシントンで行われると明らかにした。ただ、実質的な進展があるかどうかについては双方とも懐疑的だ
    • クドロー米国家経済会議(NEC)委員長は10月1日に予定される対中関税率引き上げを巡り、中国から延期要請はなく、予定される貿易協議に何の条件も設けていないと述べた
  • トランプ大統領が対中貿易戦争で仕掛けた新たな攻撃に対し、中国は正面からぶつかろうとしていない。行き詰まり打開の道筋が見えない中で、経済混乱を乗り切りつつ米国側の出方を待つ構えのようだ。トランプ政権は約1100億ドル(約11兆8000億円)相当の中国製品に対する関税を9月1日に発動した
    • 中国人民銀行(中央銀行)は、市中銀行から強制的に預金の一定割合を預かる預金準備率を引き下げると発表した。新たな準備率は2007年以来の低水準となる。国内の景気減速と貿易戦争の逆風に直面する中国経済を支えるため、人民銀は流動性を供給する。人民銀のウェブサイトによると、9月16日に準備率を0.5ポイント引き下げる
    • 中国は米国の関税に対し、世界貿易機関(WTO)の紛争解決手続きに従って提訴する。同国商務相が発表した
  • 香港の林鄭月娥(キャリー・ラム)行政長官は「逃亡犯条例」改正案を正式に撤回したと発表した
    • 格付け会社フィッチ・レーティングスが香港の外貨建て長期発行体格付けを「AA」に引き下げた。発表資料で、「数カ月に及ぶ対立と暴力は、香港と中国本土の関係を規定する『一国二制度』の枠組みの限界とその柔軟性を試練にさらした」と説明した
  • 南アフリカの国内総生産(GDP)は4-6月(第2四半期)にプラスの伸びを回復、リセッション(景気後退)入りを回避した
  • JPモルガン・チェースは、ベンチマークとなる指数の一部に中国国債を段階的に採用し始める。世界で2番目の規模を持つ中国債券市場に新たな資金を呼び込む可能性がある
  • サウジアラビアはファリハ・エネルギー相を国営石油会社サウジアラムコの会長職から外した。アラムコの新規株式公開(IPO)に備える中で、ファリハ氏の役割が1週間足らずで再び縮小される
資産別指数(ニューヨーク時間6日午後4時20分現在)週間
MSCI新興市場指数+2.4%
MSCI新興国通貨指数+0.8%
ブルームバーグ・バークレイズ新興国市場の自国通貨建て国債指数(5日まで)+0.4%

アジア:

  • 中国の製造業セクターの見通しが8月に悪化したことが国家統計局が公表した最新の購買担当者指数(PMI)で示された。一方、財新伝媒が9月2日発表した8月の中国製造業PMIは50.4と、7月の49.9 から上昇した
    • 中国の経済成長見通しの下方修正が相次いでいる。2021年の共産党結党100周年に合わせて掲げた目標に、届かない可能性が出てきた
    • 中国企業の私募債デフォルト(債務不履行)が今年、過去最悪の水準に膨らんでいる。本土経済の減速が重しとなる中で、体力の弱い企業は公募債の返済を優先させている
  • 韓国の8月のインフレ率は初めてゼロとなり、4-6月(第2四半期)の経済成長率は速報値からやや下向き改定された。韓国銀行(中央銀行)は3日、農産品と石油製品からのベース効果が当面継続し、同国のインフレ率が年末ごろ急速に回復するとの見通しを明らかにした

EMEA:

  • トルコ経済の4-6月(第2四半期)成長率は前年比で伸びが鈍化するも、市場予想を上回った。通年の政府予想は大きく下回る見通し
  • 南アフリカ共和国の4-6月(第2四半期)の経常赤字はここ1年余りで最大の水準に拡大した。貿易収支は18年1-3月(第1四半期)以来の赤字となった
  • ロシア中央銀行は3会合連続で利下げを決定。指標の1週間物入札レポ金利を7.25%から7%に引き下げ、2014年3月以来の低水準とした。インフレ率が目標の4%に向かって低下する中で、今後の会合で追加緩和はあり得ると表明した
  • アフリカ南部の内陸国ジンバブエを首相および大統領として37年間にわたって統治したロバート・ムガベ氏が死去した。95歳だった

中南米:

  • アルゼンチンは資本規制の導入を決定したことで、一時的に外貨準備の枯渇を回避できるかもしれないが、長期的にはほとんど効果をもたらさないと、一部のアナリストが指摘した
  • ブラジルの7月の鉱工業生産指数は前月比0.3%下落。3カ月連続の落ち込みとなった
  • チリ中央銀行は政策金利を9年ぶりの低水準に引き下げた。世界的な貿易戦争や内需が弱まる中で打撃を受けた自国経済の刺激が目的
今週発表のデータ
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原題:EM Review: Risk Wagers Returned as Trade Talks Set to Resume(抜粋)

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