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パウエルFRB議長、利回り低下の後手に回る-金融緩和の取り組みで

  • 米当局が利下げする中にあっても中立金利巡る市場の推計値が低下
  • パウエル議長はチューリヒでのイベントで金融政策について議論へ

米連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長はかねて、金融政策の運営姿勢への指針として債券市場に目を配っていると話してきた。そして現時点での市場から議長へのメッセージは、米金融当局の利下げが後手に回っているというものだろう。

  米金融当局は7月、約10年半ぶりとなる利下げに踏み切った。それでも、米国債利回りの動向から読み取ると、長期的に景気の加速も減速も招かない中立金利は今年に入って低下していると、エコノミストは推察する。

Fed Chairman Jerome Powell Holds News Conference Following FOMC Rate Decision

7月31日のFOMC後に記者会見したパウエル議長

Photographer: Andrew Harrer/Bloomberg

  パウエル議長は昨年、エコノミストが「r*(Rスター)」と呼ぶ長期の中立金利について、債券利回りから何らかの手掛かりが得られると米議員に語っていた。議長は6日にチューリヒでのイベントで、金融政策について最新の考えを示す予定だ。

Falling R-star

Inflation-adjusted neutral rate drops

Five year forward real Treasury yield in last week of each month

Source: Wrightson ICAP LLC

  米金融当局は17、18両日に開く連邦公開市場委員会(FOMC)で追加利下げを決めると広く予想されている。世界的な景気減速と低インフレに対処する7月の利下げに続くものだ。

  ドイツ銀行の米国担当チーフエコノミスト、マシュー・ルゼティ氏は3日のリポートで金融当局について、「中立金利の推計値の低下に後れを取らないようにするのに苦労している」とした上で、その結果「一段と積極的な利下げを余儀なくされる」可能性があると指摘した。

  アナリストは中立金利の推計に当たって、債券利回りから予想インフレ率やリスクプレミアムなどの要素を取り除くなどさまざまな手法を用いている。ライトソンICAPのチーフエコノミスト、ルー・クランドール氏の試算によれば、代理的な指標の1つである米国債5年物フォワード実質利回りは、昨年12月以降に約1ポイント低下して実質ゼロとなっている。

  これに対しFOMCはこれまでのところ、フェデラルファンド(FF)金利の誘導目標レンジを0.25ポイント引き下げて2-2.25%としたのにすぎない。過去20年間のインフレ率が平均1.75%前後であることを踏まえると、実質ベースは0.5%程度となる計算だ。

  長期金利の急低下には米金融当局者も関心を寄せている。ダラス連銀のカプラン総裁は8月28日、アメリカン・パブリック・メディアとのラジオインタビューで、債券利回りの劇的な低下を「現実性のチェック」と呼んだ上で、30年債利回りがフェデラルファンド(FF)金利を下回っていることに言及。「政策金利を調整する必要性にオープンかつ建設的でなければならない」ことを示唆していると語った。

Low Rider

FOMC median projection for long-run neutral rate

Federal Reserve

原題:Powell Running Behind the (Yield) Curve in Effort to Ease Policy(抜粋)

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