バブル破裂恐れる債券投資家、流れに逆らう勇気はなくても賢く備える
John Ainger、Charlotte Ryan-
デュレーション短縮やオプション利用などで一斉売りに備える
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「現時点では一斉売りの大きなリスクがある」-ヒックモア氏

世界的な債券バブルが破裂することへの恐怖が市場を落ち着かなくさせているが、次々と記録を破っていく債券上昇相場の流れに逆らうのは勇気がいる。
投資家らは代わりに、もう少し間接的な方法で債券の一斉売りに備えようとしている。相場変動の影響を受けにくい短期債に資金を移す、プットオプションを購入する、質の高い債券の保有を増やす、などだ。こうした取引は、債券相場を押し上げた世界経済への悲観論が幾分行き過ぎで、インフレが上向く可能性はなおあるとの見方を反映している。
今年の前例のない債券相場上昇により、世界で17兆ドル(約1820兆円)を超える債務の利回りがマイナスとなり、ドイツ国債は年限を問わずマイナス利回りとなっている。満期まで保有すれば必ず損失の出る証券を、多くの投資家はまだ値上がりすると期待して買っている。こうした状況は、債券バブルが膨らみつつあるかもしれないとの警戒を一部投資家の間で呼んだ。

アバディーン・スタンダード・インベストメンツのマネーマネージャー、ルーク・ヒックモア氏は、「現時点では一斉売りの大きなリスクがある」とし、 「貿易戦争や英国の欧州連合(EU)離脱といった世界的なリスクが後退したり、中央銀行の政策対応が市場を失望させたりすれば、大規模な売りが起こるだろう」と述べた。
債券相場下落を見込む投資家は、オプションを活用している。実際に下落すれば利益が出るし、見込みが外れても失うのは支払ったプレミアム分だけだ。インベステック・アセット・マネジメントは米国債のロングポジションで利益を確定した後、日本の債券の値下がりを見込む取引として円のプットオプションを購入した。
債券ポートフォリオを値下がりから守るもう1つの方法は、期間短めの証券への配分を増やしてデュレーションを短縮することだ。トウェンティフォー・アセット・マネジメントのクリス・ボウイ氏はポートフォリオの年限を短くしつつあり、短期の英国債がボラティリティーへの備えになると考えている。
デュレーションを短縮することに加えて同氏は、ポートフォリオの信用の質を高めることでリスクの最小化を図っている。

原題:Bond Investors Are Bracing for a Bubble and Being Smart About It(抜粋)