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先制的な政策対応重要、経済・物価下振れリスク増す-片岡日銀委員

更新日時
  • 短期金利引き下げは経済・物価に対して最も効果的
  • 円高は日銀の物価安定目標に対して一定の障害になり得る

日本銀行の片岡剛士審議委員は4日午前、函館市内で講演し、先行きの金融政策運営について、経済・物価の下振れリスクが高まる中で先制的な政策対応が重要と述べ、あらためて追加緩和の必要性を指摘した。

  片岡委員は、前回7月の金融政策決定会合で現行のイールドカーブ・コントロール政策の維持に反対票を投じたが、早期の物価2%目標の実現には「追加緩和によって需給ギャップの需要超過幅を一段と拡大させるよう働き掛けることと併せ、物価目標と関連付けた形でフォワードガイダンスを修正することも適当」との考えを重ねて示した。

  さらに、デフレからの完全脱却を目指すには「財政・金融政策のさらなる連携を図る工夫を講じることで、市場や企業・家計の期待や予想に働き掛けていくことも重要」と指摘した。

Bank of Japan Governor Haruhiko Kuroda Attends Branch Managers Meeting

日本銀行本店

  その上で、経済・物価情勢について「下振れるリスクが増す中で、物価目標と実際の物価上昇率に相応の距離がある」との認識を示し、それを踏まえた金融政策運営について「経済の遅行指標である物価の変調を確認した後ではなく、先制的に政策対応することが重要」と語った。

  片岡委員はこの日午後の会見で、「前回会合の段階から、現状のイールドカーブの形状を前提とすると、短期金利引き下げが適当であると主張している」と説明。「経済・物価に対して最も効果的と判断した」と述べた。さらに、「金融政策の要諦はフォワードルッキングな対応が基本」と主張した。

  また、特定の為替水準に関するコメントは控えるとした上で、「昨年末辺りから緩やかな円高の方向になっている」と指摘。円高は特に製造業に悪影響を及ぼすとし、日銀の物価安定目標に対しても「一定の障害になり得る」との見方を示した。

海外リスク顕在化

  片岡委員は講演で、日銀が最大のリスクと位置づけている海外経済は「リスク要因の一部が顕在化しつつある」とし、「今年後半以降とされてきた世界経済の回復のタイミングが後ずれし、回復の程度も小幅にとどまる可能性が高まっている」と指摘。

  特に「不確実性の中でも、とりわけ米中貿易摩擦の展開が重要」と述べ、「貿易協議の着地点は見えておらず、世界経済は依然として下振れリスクに直面している」と警戒感をにじませた。

7月の日銀金融政策決定会合に関する記事はこちらをご覧ください

  米中貿易摩擦の激化などを背景に世界経済の下振れリスクは一段と強まっている。市場では、9月の日銀会合に先立ち開かれる欧州中央銀行(ECB)と米連邦準備制度理事会(FRB)の政策決定や市場の動向次第で、日銀もマイナス金利の深掘りなどの追加緩和を迫られるとの見方が台頭している。

(片岡委員の記者会見での発言を追加して更新しました.)
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