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Photographer: Akio Kon/Bloomberg

低金利環境下で生き残りを懸けたリスクテーク-苦悩する地銀 (訂正)

訂正済み
  • 想定以上の地銀が購入、低格付けインド輸銀のサムライ債-関係者
  • TLAC債の経過措置3月末に切れ、地銀は新たな投資先を物色
The Bank of Japan (BOJ) headquarters stand in Tokyo, Japan, on Tuesday, July 16, 2019. The BOJ would offer support for a government spending package likely to be unveiled in October when a national sales tax is increased, according to a former central bank official.
Photographer: Akio Kon/Bloomberg

低金利環境下で収益悪化にあえぐ地方銀行が一般債(国債を除く債券)への投資を積極化している。高まる再編圧力の中、生き残りを懸けるリスクテークで少しでも高い利回りを物色する。

  インド輸出入銀行債が地銀に売れるのは新しい発見だったーー。8月、13年ぶりに公募したサムライ債に想定以上の地銀が参加したと関係者は明かす。格付けは日本格付研究所(JCR)でBBB+。ジャンクまでわずか3段階に迫るこうした低格付けの銘柄は従来、年金勢などリスク分析にたけ、国債利回り格差(スプレッド)を利用した反対売買で収益確保を狙うスプレッドバイヤーの需要が大勢を占めていた。日本学生支援機構2年債が前月、初めてマイナス利回りで発行されると、この過去最低利回りを受け入れた買い手の中にも地銀の姿があり、今月の10年地方債の利率下げもいまや売却益を狙う地銀マネーがけん引する。

地方銀行の業績推移

11年度以来の低水準に

全国地方銀行協会

協会に加盟する64行の年度別当期純利益推移

  銀行の有価証券運用は手元で滞留する資金の有効活用として余資運用とも呼ばれるが、地銀にとっていまやこうした運用は重要な収入源となっている。日銀の金融緩和政策の長期化で国内企業への貸し出しによる利ざやは大幅に縮小。全国地方銀行協会によると加盟する64行の2018年度純利益は前年度比21%減少した。国債保有残高は5年間でほぼ半減し、行き場を失った地銀の余資は一般債市場に流入しているわけだ。今年度に入り後に金利の下げ足が速まったことに加え、金融庁のTLAC(総損失吸収能力)債保有規制の経過措置が3月末に切れたこともあり、地銀は少しでも収益改善に寄与する新たな投資先を物色している。

  運用の重要性が増したことで、みずほ信託銀行が地銀の運用部門でリスク管理や損益管理などバックオフィスの代行事業を開始するなど新たなビジネスも登場。SMBC日興証券金融経済調査部の阿竹敬之課長はこうした地銀を取り巻く経営環境について「過当競争になっている」とし、昨年よりも利回りが取れない状況で地銀は期間リスクや信用リスクの許容度の拡大、外債投資などで地銀も運用で「リスクテークせざるを得ない」状況だと語った。

高まる再編圧力

  人口減少や高齢化の進展などもあり、地域金融機関の経営環境は年々厳しさを増す。1-8月に格下げされた国内企業は64社。同期間ではマイナス金利政策が導入された16年以来の多さで、そのうち地銀は14行と全体の22%を占め16年の13%(10行)を上回る。ブルームバーグが格付け5社を集計した。

  地銀の収益悪化を問題視する金融庁は前月、収益性の確保などに懸念のある地域金融機関に対してはモニタリング等を実施していくと公表した。政府も年度初めから対応に動き始め、4月の未来投資会議で、地銀統合に関しては独占禁止法で問題となる高い市場シェアとなっても、特例的に経営統合が認められるようにすべきだとする論点が示され、地銀に対する再編圧力は徐々に高まっている。

  キャピタルエコノミクスのエコノミストであるトム・リアマス氏は「こうした動きはリスクの高い借り手への貸し付けが収益改善につながらなかったセクターにとっての前向きなステップだ」とし「統合が、日本の地銀が抱える課題に対して長期的に実行可能な唯一の解決策だ」とリポートで指摘した。  

国内銀行数の推移

過去30年間で銀行数は減少

全国銀行協会

統計サンプルはメガバンク、都銀、信託銀行、地方銀行を含む

  

(第4段落の阿竹氏の肩書きを課長に訂正します)
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