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Photographer: Akio Kon/Bloomberg

マイナス金利は消費減退に拍車、バブルの傷深いと元銀行トップが警鐘

  • 日本経済はいまだ回復途上にありマイナス金利政策の導入は間違い
  • 証券優遇税制など大胆な刺激策必要と三井住友信託銀の高橋名誉顧問
Mount Fuji stands beyond buildings as a visitor looks out at the skyline from an observation deck in Tokyo, Japan, on Friday, Jan. 11, 2019. Japan’s key inflation gauge slowed in the first back-to-back decline since April, highlighting the difficulty of the Bank of Japan’s price goal ahead of its policy meeting next week.
Photographer: Akio Kon/Bloomberg

「バブル崩壊の傷は深く、日本経済はまだ回復しきっていない」。金融再編を招いた1990年代の平成不況の際、経営のかじ取りを担った三井住友信託銀行の高橋温名誉顧問(78)。日本銀行がデフレ脱却の目玉として導入したマイナス金利政策について「消費行動の減退に拍車を掛けているのではないか」と、経済への悪影響に懸念を示す。

  マイナス金利政策の導入から3年半。出口は見えず、むしろ世界経済の減速を背景としたマイナス金利の深掘りが取り沙汰される。7月の日銀政策決定会合後の会見で、黒田東彦総裁は、従来よりも「追加緩和に向けて前向きになった」と明言した。ブルームバーグのデータによると、市場関係者の7割以上が年内の利下げを予想。18-19日に開催される政策決定会合での議論の行方に注目が集まっている。

  高橋氏はインタビューで「金利がゼロになることは、例えば退職者など今まで金利を当てにしていた人たちの消費を冷やすことを促進している」と指摘。経済へのプラス効果よりも悪影響の方が強いとの見方を示す。一方、マイナス金利政策をやめることは金融引き締めとなるため「しばらくは現状維持で仕方がない」とも語った。

  事態を打開するには、株式譲渡益に対する税率を大きく引き下げる証券優遇税制の復活など思い切った投資刺激策が必要だと訴える。銀行に眠る民間資金を株式市場に呼び込むことで、経済活性化につなげることが重要だという。

  日本長期信用銀行や日本債券信用銀行が破綻した1998年に旧住友信託銀行社長に就任した高橋氏。問題先送りが危機を招く現実を目の当たりにしながら、再編の波には巻き込まれずバブル崩壊後の金融危機を乗り越えた。

  「不動産バブルは土地神話だった。リーマンショックどころではなく、国民挙げての神話の崩壊なので根が深い」といい、「根の深さから考えれば今はまだ回復途上にある」との見方を示す。上がると信じられていた不動産価格が下落した衝撃を振り返り、傷が完全に癒えない中でのマイナス金利の導入は間違いだったと述べた。

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