9月3日の海外株式・債券・為替・商品市場
Bloomberg News欧米市場の株式、債券、為替、商品相場は次の通り。
◎NY外為:ポンド上昇、英議会に焦点-ドル安、製造業活動縮小
3日のニューヨーク外国為替市場では、ポンドが対ドルでほぼ3年ぶり安値から持ち直した。英議会では合意なき欧州連合(EU)離脱の回避を目指す動きが正念場へと向かっている。一方、ドルは下落。米製造業活動の縮小が示されたことから、世界的な成長減速への懸念が強まった。
- スイス・フランと円には逃避の買いが押し寄せた。米国債も上昇し、10年債利回りは一時、3年ぶり低水準の1.4272%を付けた
- ニューヨーク時間午後4時47分現在、ブルームバーグ・ドル・スポット指数は0.1%安。一時は2017年5月以来の高値を付けていたが、ISM製造業指数が発表されると下げに転じた
- 主要10通貨では、オーストラリア・ドルの上げが目立った。オーストラリア準備銀行(中央銀行)は政策金利を据え置き、これまでの利下げと減税の組み合わせが景気に及ぼす効果を見極める。ノルウェー・クローネは下落率トップ
- 欧州中央銀行(ECB)政策委員会メンバー、エストニア中銀のミュラー総裁は利下げに違和感はないが、債券買い入れを再開する強い論拠はないとの認識を示した。フランス中銀のビルロワドガロー総裁も債券購入を再開する必要性について懐疑的な見方を示した
- ドルは対ユーロでほぼ変わらずの1ユーロ=1.0974ドル。対円では0.3%安の1ドル=105円95銭
- ポンドは対ドルで0.2%高
欧州時間の取引
ポンドがほぼ3年ぶりの水準に下落。ジョンソン英首相は3日夜の議会採決に敗れれば、10月14日の総選挙を目指すと述べた。英EU離脱を巡る不透明感はユーロも圧迫した。
原題:Pound Rises Before U.K. Vote; Dollar Weakens: Inside G-10(抜粋)
Pound Drops as Johnson Raises Specter of Snap Poll: Inside G-10
◎米国株・国債・商品:株が下落、貿易の不安再燃-国債は高い
3日の米株式相場は下落。米中通商交渉は再び暗礁に乗り上げそうだとの不安が広がった。一方で米国債は上昇。米製造業が3年ぶりに縮小したことを示す指標が材料視された。
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S&P500種株価指数は連休を挟んで下げに転じた。米中両国の通商交渉当局者は今月行う予定の会合日程を設定できていないと、関係者がブルームバーグに対し明らかにした。米国は週末、中国からの延期要求をはねつけて対中関税の発動に踏み切っている。中国の華為技術(ファーウェイ)は同社システムにサイバー攻撃を仕掛けていると、米政府を非難。これを受け、テクノロジー株が下げた。ボーイングも下げ、ダウ工業株30種平均を押し下げた。
S&P500種株価指数は前週末比0.7%安の2906.27。ダウ平均は285.26ドル(1.1%)安の26118.02ドル。ナスダック総合指数は1.1%低下。ニューヨーク時間午後4時53分現在、米10年債利回りは4ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)低下の1.46%。
ニューヨーク原油先物相場は大幅下落し、1週間ぶりの安値。トランプ大統領は自分が2020年の大統領選で再選された場合、通商交渉は中国にとってさらに困難なものになるとツイート。8月の米供給管理協会(ISM)製造業総合景況指数が3年ぶりに活動縮小を示したことや、ガソリン先物の急落も原油への重しとなった。ニューヨーク商業取引所(NYMEX)のウェスト・テキサス・インターミディエート(WTI)先物10月限は1.16ドル(2.1%)安の1バレル=53.94ドルで終了。ロンドンICEの北海ブレント11月限は40セント安の58.26ドル。
ニューヨーク金先物相場は反発。貿易を巡る米中の対立や、英国や香港での政治的混迷を意識した逃避買いが再開された。ニューヨーク商品取引所(COMEX)の金先物12月限は1.7%高の1オンス=1555.90ドル。
米10年債利回りは、ISM製造業総合景況指数の発表直後に大きく低下。指数は49.1と市場の予想外に低下し、活動縮小を示した。
ルートホルド・グループの最高投資ストラテジスト、ジム・ポールセン氏は「先週は言葉のやりとりが良かったため、投資家マインドは上向いていた。だが行いは言葉より雄弁であり、両国とも関税発動の期限を迎え、撤回するには至らなかった」と、インタビューで解説。この日発表された米製造業の指標が弱く、貿易が景気に悪影響を及ぼしているとの見方を強めたと説明した。
原題:Stocks Decline on Trade Woes; Treasuries Rise: Markets Wrap(抜粋)
Oil Hits One-Week Low as Trump Tweet Fuels Market ‘Bloodbath’
PRECIOUS: Gold Climbs Amid Latest Trade and Geopolitical Drama
◎欧州債:イタリア債上昇、新政権誕生に期待-ドイツ債も高い
3日の欧州債市場でイタリア債が上昇。「五つ星運動」はコンテ暫定首相が樹立を目指す連立政権に参加するとの見方が買いを誘った。ドイツ債も高い。米製造業統計が市場予想を下回った。
- イタリア10年債利回りは10ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)下げて0.86%と過去最低を更新
- 五つ星運動の党員はこの日、民主党(PD)との連立政権を受け入れるかどうかについてオンラインで投票を行っている。投票締め切りはロンドン時間午後5時
- ドイツ債は上昇。8月の米ISM製造業総合景況指数は2016年以来の低水準に落ち込んだ
- ドイツ10年債利回りは一時4bp下げてマイナス0.74%と、過去最低を記録
- 英国債は上げ幅縮小。この日実施された6年債入札は需要が芳しくなかった。英保守党議員1人が離党し、野党・自由民主党に移籍したことで、ジョンソン政権は下院で過半数を失った
- ドイツ10年債利回りは2bp下げてマイナス0.72%、フランス10年債利回りは1bp下げてマイナス0.41%
- ユーロ参加国の国債利回りとスプレッドの一覧はこちらをクリックしてください
原題:Italian Bonds Surge, Bunds Advance; End-of-Day Curves, Spreads(抜粋)