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Photographer: Daniel Acker/Bloomberg

「害虫対策」で米国産トウモロコシ必要との安倍首相の説明に疑問の声

  • 飼料用トウモロコシ国内生産は年1000トン未満、250万トン購入か
  • 需要は増えておらず輸入拡大する意味がないと専門家
A crop scout holds an ear of poorly pollinated corn at a stop during the Pro Farmer Midwest Crop Tour in Gridley, Illinois, U.S., on Tuesday, Aug. 20, 2019. Inconsistency is the one constant coming out of a major U.S. crop tour that kicked off on Monday as scouts get to see first hand the impact of wild weather on Midwestern corn and soybean fields.
Photographer: Daniel Acker/Bloomberg

安倍晋三首相は8月の日米首脳会談でトランプ大統領の要請を受け、米国産の飼料用トウモロコシの購入を約束した。首脳会談後の共同記者会見で安倍首相は害虫によりトウモロコシの国内生産が減っているためだと説明したが、これが本当なのか疑う声がある。

  安倍首相はこの時、「害虫対策の観点からわれわれは購入を必要としている。政府ではなく民間が購入する」と発言した。日米首脳は通商交渉の大枠で合意、米国が日本車への自動車関税を当面発動しない代わりに日本は米農産物の購入拡大を約束した。

  しかし、そもそも日本の飼料用トウモロコシの生産量は昨年1000トン未満と、輸入量の約1100万トンと比べてはるかに少ない。このため、仮に日本の飼料用トウモロコシ畑が全て害虫被害により生産できなくなったとしても、現在の供給量をカバーするには輸入量を1000トンだけ増やせばいいことになる。米国は既に日本のトウモロコシの最大の供給元であり、昨年の輸入量に占めるシェアは92%だった。

  だがトランプ大統領は日本は大量に購入することになると示唆した。同大統領は、中国が対米通商交渉の一環として約束した購入拡大を実行していないため米国産トウモロコシは余っており、これを「日本が全て購入する」と共同記者会見で語った。

  農林中金総合研究所の平澤明彦・主席研究員は、「日本では害虫被害は限られている」とした上で、「環太平洋連携協定(TPP)で肉の輸入が増えているため国内の畜産は縮小気味であり、そもそも飼料用トウモロコシの需要は増えていない」と説明。

  「もし今年余分にトウモロコシを買うとしたら、来年はその分輸入が減るだろう。あるいはとりあえず輸入して、その後に第3国に輸出することになるかもしれない」と述べ、いずれにせよ「これ以上トウモロコシの輸入を拡大する意味がない」と平澤氏は指摘した。

  共同通信は、日本が米国との約束により、米国産飼料用トウモロコシを250万トン追加輸入する見込みだと報じた

原題:Abe’s Claim That Japan Needs U.S. Corn Due to Pests Looks Shaky(抜粋)

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