コンテンツにスキップする

4-6月設備投資、製造業が8期ぶり減少-米中貿易摩擦など警戒

更新日時
  • 製造業の設備投資は6.9%減、非製造業は7.0%増-全産業は1.9%増
  • 製造業は中国経済減速や米中摩擦の影響が出ている-農中総研の南氏

財務省が2日発表した法人企業統計によると、2019年4ー6月期の全産業(金融・保険を除く)の設備投資は、製造業が前年同期比で8四半期ぶりに減少に転じた。米中貿易摩擦の影響などから、半導体で生産能力増強に向けた投資を控える動きが出た。全産業(金融・保険業を除く)では11四半期連続のプラスだった。

キーポイント

  • 設備投資額は前年同期比1.9%増の10兆8687億円(ブルームバーグ調査の予想中央値は1.7%増)-前期は6.1%増
    • 製造業は6.9%減、非製造業は7.0%増
  • 国内総生産(GDP)改定値に反映されるソフトウエア除く設備投資は同1.7%減の9兆6433億円(予想は2.4%増)-前期は6.9%増
  • 全産業の売上高は同0.4%増の345兆9119億円-前期は3.0%増
  • 全産業の経常利益は同12.0%減の23兆2325億円-前期は10.3%増

 

設備投資の推移

                

エコノミストの見方

農林中金総合研究所の南武志主席研究員:

  • 設備投資は全体的には悪くはない数字。製造業と非製造業間での違いがはっきり表れている
    • 製造業は中国経済の減速や米中貿易摩擦の影響が出ている
    • 非製造業は省力化投資などの必要から崩れてはいないが来月の消費増税の影響を受けると予測され非製造業も停滞するリスクがある
  • 設備投資は前期比の数字ではプラスを保っているため、GDP2次速報で大幅修正の可能性は低い
  • 企業収益は売り上げが伸びない中で悪化。収益が上昇し賃金にも波及していくとみる日銀のシナリオに不透明感
  • 月の金融政策決定会合では日銀は何らかの政策を打たざるを得ないだろう。景気の停滞感が強く物価の上昇経路が描きにくい中、欧米金融当局が緩和策をとる中で傍観できないのではないか

岡三証券の愛宕伸康チーフエコノミスト:

  • 製造業はやはり企業マインドが多少萎縮している。米中貿易摩擦もあって外部環境が悪化しているのは間違いない。不確実性が増すと企業の設備投資には影響が出る
  • 一方、非製造業は簡単には人を採れない状況のため、引き続き省力化のための設備投資が続いている

大和総研の鈴木雄大郎エコノミスト:

  • 製造業は先行き不透明感から設備投資を先送りする動きが鮮明。それは非製造業にも表れている
  • 設備投資の増加分のうちほとんどはソフトウエアの部分で、ソフトウエア除く設備投資の鈍化傾向は非製造業にも出始めている
    • 今回は10月の消費増税のタイミングでの軽減税率対応のシステム投資やソフトウエア改修などが出て全体を押し上げていた
  • 内部留保は決してキャッシュばかりではない。今後の運転資金として一時的に置いているもの、今後の設備投資のために一時的に手元に置いているなどが考えられ、一概に設備投資に回していないという風に説明するのは難しい

詳細

<四半期ベース>

  • 設備投資は11期連続増加、製造業は8期ぶり減少、非製造業は11期連続プラス-財務省担当者
    • 製造業の減少要因では、情報通信機械が半導体需要の減少に伴う生産能力増強投資の抑制、半導体サイクルや米中貿易摩擦の影響。石油石炭は前年の石油精製投資の反動
    • 非製造業の増加要因は、不動産業で都市部中心にオフィスビル取得。物品賃貸業でリース資産、情報通信機器の増加
  • 経常利益は2期ぶり減益、水準としては過去最高を記録した2018年4-6月期に次ぐ高さ。製造業は4期連続減益、非製造業は2期ぶり減益-財務省
    • 製造業の減益要因では、情報通信機械が米中貿易摩擦の影響でスマホ向け部品需要減少。電気機械は米中貿易摩擦の影響から、海外中心に産業機器向けや自動車向け部品の需要減少
    • 非製造業では、サービス業で子会社からの受取配当が減少、宿泊業で成長投資や設備投資が増加。情報通信業で通信料収入の減少や販売促進費のコスト増
  • 季節調整済みの数値をソフトウエア「除く」から「含む」に変更。ソフトウエア含むデータが十分蓄積され、季節調整をかけられるようになったため-財務省

<18年度ベース>

  • 設備投資は前年度比8.1%増の49兆1277億円と8年連続増加、2年連続の過去最高更新-財務省
  • 経常利益は0.4%増の83兆9177億円と9年連続増加、6年連続で過去最高更新-財務省
  • 企業の内部留保にあたる利益剰余金は3.7%増の463兆1308億円、7年連続で過去最高更新-財務省

背景

  • 4-6月期の実質GDP(速報値)は3四半期連続のプラス成長。個人消費や企業設備投資など堅調な内需を背景に、伸び率は市場予想を上回った。改定値は9日に発表
  • 7月公表の日銀短観によると、全規模・全産業の土地を除いた19年度の設備投資計画は前年度比5.7%増と、18年度の5.1%増から加速する見通し
  • 政府は8月の月例経済報告で、国内景気の総括判断を「輸出を中心に弱さが続いているものの、緩やかに回復している」に維持。設備投資については「このところ機械投資に弱さもみられるが、緩やかな増加傾向にある」を据え置いた
(詳細に年度ベースの数値を追加、エコノミストコメントを追加して更新しました)
    最新の情報は、ブルームバーグ端末にて提供中 LEARN MORE