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1000年繁栄が夢-失敗からソース発明の1.6兆円ファミリービジネス

  • ビジネスの発端は130年前の調理ミスによるオイスターソース発明
  • 李錦記は今や1.6兆円規模の同族企業、5代目も経営に関与

広東料理に欠かせないオイスターソースは、李錦裳(リ・キンシェン)氏が約130年前にかきを調理し過ぎて偶然発明した。このソースで李一族はアジア有数の金持ちファミリーになり、一族の企業である李錦記は今や5代目も経営に関与する。

  香港を本拠とする李錦記は、富を近年膨らませて超富裕層となったアジアの同族経営者らにとって、見本となる事例研究対象となった。これら経営者の多くは、初の後継者問題に直面中で「富は3代続かず」という中国の格言が現実化するのを回避しようとしている。

  李錦記の会長で3代目の李文達氏は、親戚や兄弟と会社経営を巡って争った過去や1990年代に息子を巡って起きた危機をくぐり抜けた経緯があり、その後の2000年代序盤に同族経営としては異例の包括的なガバナンス(統治)制度を導入した。

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李文達氏(2013年)

   

  約150億ドル(約1兆6000億円)の富を築いた李一族のリーダーらは今、ガバナンスを調整し、ファミリー事業への関心が薄れていそうな14人の若い世代にアピールしようとしている。最近の試みとしては、ベンチャーキャピタル事業部門などを教育の場とし、「イノベーションの旅」と称して一族のメンバーをシリコンバレーやイスラエルなどに向かわせた。大きな目標は、ファミリー事業の1000年にわたる繁栄だ。

  こうした取り組みが「5代目まで事業を残せる結果につながり、これは同族経営としてほとんど類を見ない偉業だ」と、ノースウエェスタン大学ケロッグ経営大学院のセンター・フォー・ファミリー・エンタープライゼスのエグゼキュティブディレクター、ジェニファー・ペンダーガスト氏は指摘した。同氏は16年、李家の事業についてケーススタデディーを発表している。 

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中国南部の新会区にある李錦記のソース工場の発酵タンク

写真家:Vincent Yu / AP Photo

  李文達氏(89)が最初にトップに就いたのは約50年前。ケーススタディーによると、兄弟が経営に関与した時期もあったが、企業将来像への見方が分かれた1980年代に同氏が経営権を完全に握り、ほぼ同じ時期に子供たちが事業に加わった。伝記によれば、末の息子はアジアが通貨危機に見舞われた90年代後半に一族のビジネスから独立する姿勢も見せた。李錦記は2002年に家族協議会を作り、これが一族のファミリーオフィスや憲章、学習センターなどの基礎固めとなった。
    

Charlie Lee Wai-chung, chairman of Lee Kum Kee sauces, poses for a picture at Chinese Culinary Institute in Pok Fu Lam. 28SEP16 SCMP / Jonathan Wong

Lee Kum Keeブランドのプレミアムオイスターソース。

フォトグラファー:ジョナサン・ウォン/ゲッティ・イメージスによる南中国の朝の投稿

  家族憲章によると、李錦記では直系血族しか株式を保有できず、姻族は採用できないほか、後継世代はいったんグループ企業外で働いてから組織に戻ってくることが求められる。

  李錦記が現在携わる事業はオイスターソースだけでなく、不動産やヘルスケア、ベンチャーキャピタルなど幅広い。17年にはロンドンで「ウォーキートーキー」の愛称で知られる高層ビルを17億ドルで取得したほか、著名建築家だった故ザハ・ハディド氏設計の本社を広州に建築中だ。

Walkie-Talkie Building

「ウォーキートーキー」の愛称で知られる高層ビル

写真家:ジョン・キーブル/ゲッティイメージズ

  現会長の引退後も若い世代が事業を維持できるかが問題だと語るのは、香港中文大学のジョセフ・ファン教授(財政学)だ。同教授の調査によると、中国の同族企業の後継者問題は、上場企業の価値が半分以上失われることと関連がある。また、ケロッグ経営大学院が13年前後の時期に特化して実施した調査によると、李家の5代目にはファミリー事業への関心の薄れが見られた。

原題:A $15 Billion Oyster Sauce Family Plots to Survive 1,000 Years(抜粋)

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