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日本株にSQ波乱リスク-マイナスの裁定残が示唆する先物需給

  • 先物が長期にわたり割安状態に放置、マイナス裁定残の定着生む
  • 多くの投資家が下落に対して対応済みの可能性、SQで一部解消も
Visitors look at screens displaying stock indices at the Tokyo Stock Exchange (TSE), operated by Japan Exchange Group Inc. (JPX), in Tokyo, Japan, on Tuesday, July 24, 2018.

日本株の相場見通しを映す裁定取引残高がマイナスとなる状況が長期化している。9月の株価指数先物とオプションの特別清算値(SQ)算出を控え、ボラティリティー(変動性)が拡大する可能性がある。

  東京証券取引所が発表した8月23日時点の裁定残はネット(買い残-売り残)でマイナス1兆4251億円。売り残が上回るのは11週連続で、マイナス金額は過去最大。株数では約7億株のマイナスだった。三井住友DSアセットマネジメントによると株数ベースでもマイナス幅は最大、マイナス期間は50日間超で、過去最長だった国内大手銀行が破綻した1998年の6日間を大きく上回る。

マイナス幅が拡大

  市場には9月13日取引開始時に株価指数先物・オプションを決済する9月限SQの算出が株式相場の波乱要因になるとの見方が出てきた。みずほ証券エクイティ調査部の三浦豊シニアテクニカルアナリストは「SQが大幅な買い越しになる可能性はある」と話す。株価指数を構成する銘柄の始値で決まるため持続的に続くわけではないが、「SQ値だけが現物の値段よりも高いいびつな形になりかねない」とみる。

  裁定残高は、株価指数先物が理論値を上回れば裁定業者が割高な先物を売って割安な現物株を買って利ザヤを取る「先物売り・現物買い」を行うことで現物株の買い残が積み上がる。逆だと現物株の売り残が増加するのが基本だ。現物売りは調達コストなどがかかるため、一般的には買い残のほうが多くなりやすい傾向があるが、今は違う。マイナスの裁定残は株安を見込んだ動きが出ているといえる。

不確実性リスク映す

  先物はSQを除けば、反対売買する必要がある。三井住友DS・調査部の生永正則氏は先物市場について、「投資家が売りポジションを抱えて買い戻さない状況下で、さらに売りが出ている状態」とみる。先物が理論値より割安なままにある状態の長期化が、裁定残のマイナスにつながっているというわけだ。売り方が当初予想したほど株価が下がっておらず、極端に利益が出ていないためとも考えられ、今後の見通しについてはタイミング次第で「ポジションだけでみれば反対売買で株価は上げの可能性が高い」と予想する。

  一方、東海東京調査センターの鈴木誠一マーケットアナリストは先物売り需要の強さを示すマイナスの裁定残高について、米中通商問題が世界経済の先行きに与える「不確実性リスクがあまりにも高まっていることを投資家が懸念しているため」と分析。裁定残マイナスはそうした投資家の弱気ポジションが既に株価には反映されたことを示すとみる。ただ、株価の先行きに強気になる材料が出てこない限り、たとえSQというイベントがあったとしても「売りポジションのままという状態は続くだろう」とみる。

  みずほ証券の三浦氏は「これだけ長期間にわたって裁定残が売り越し状態というのは異常な状態。何らかの特殊な要因によるものと考えられる」と分析する。9月13日当日朝の株式取引だけでなく、もし市場動向の急激な変化が起こればSQに影響を与えやすくなる9-11日の値動きについても注意が必要になりそうだ。

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