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Photographer: Keith Bedford/Bloomberg

年金財政検証:成長実現ケースで所得代替率50%超、5年前比改善

更新日時
  • 試算では現状維持の年金受給には68.9歳まで働く必要
  • 金融正常化前提の運用利回り、年金財政の持続性危ういー大和総研
Japanese 10,000 yen banknotes are arranged for a photograph in Tokyo, Japan on Sunday April 14, 2019. U.S. Treasury Secretary Steven Mnuchin said he wanted a currency clause in a trade deal with Japan to prevent deliberate manipulation of the yen to bolster exports, Japanese public broadcaster NHK said.
Photographer: Keith Bedford/Bloomberg

厚生労働省は27日、公的年金制度の持続可能性を5年に1度点検する財政検証の結果を公表、2014年の前回検証に比べ、年金の財政状況が改善したことが示された。厚生年金の適用拡大による保険料収入増に加え、出生率の向上や高齢化率の低下、労働参加の進展などが寄与した。

  今回の検証では経済成長と物価・賃金上昇の組み合わせを6通り想定。公的年金の給付水準が現役男性の平均手取り収入額の50%を満たすかを基準とする「所得代替率」指標で見ると、経済成長と労働参加が進む3つのケースではマクロ経済スライドの終了する46-47年度に51.9ー50.8%(前回試算51.0~50.6%)を確保する見通しとなった。

  マクロ経済スライドとは、将来にわたって年金財政を維持するため、物価や賃金の動向に合わせて自動的に現在の給付水準を調整する仕組みで、これにより所得代替率は低下傾向にある。経済成長と労働参加が一定程度進む2つのケースでは43-44年度に50%まで低下し、進まないケースでは国民年金積立金が52年度に枯渇し、36-38%程度まで低下する。

  財政検証は5年後の所得代替率が目安となる50%を下回った場合、給付と負担のあり方を検討するなどの措置を講じる必要がある。足元では前回検証後のマクロ経済スライド発動などにより14年度の62.7%から19年度の61.7%に低下したものの、5年後となる24年度の所得代替率は60~60.9%と一定程度の健全性は確保する結果となった。

  財政検証はまた、経済成長が横ばいだとすると、20歳の世代が現在65歳の世代と同じ所得代替率を確保するには68歳9カ月まで働く必要があるとの試算を示した。0.4%成長ならば、66歳9カ月となる。

  大和総研の神田慶司シニアエコノミストは、名目運用利回りは3-4%と高く設定されていることから、「日銀が緩和策をやめて金利が上がっても経済がうまく回っている状況」を前提としており、これが実現できないと、将来の総収入が減り、マクロ経済スライドによる調整が続くため、さまざまなケースで所得代替率50%割れが見えてくると指摘、「実際の経済財政状況と合わせて考えると、財政検証で見えてくる年金財政の持続性はちょっと危うい」との見方を示した。

(最終段落に識者のコメントを加えて更新しました)
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