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日産自:10年債利率、破格の1%弱も-投資家が気にする3つのリスク

  • 参考水準は0.8-0.9%程度、格付け劣る社債を大幅に超える利率
  • 投資家は発行額の大きさを警戒、業績不振と先行き不透明感も

日産自動車が準備している社債の利率は格付けとの比較で割高になる見込みだ。金利低下で社債の発行利率が低下傾向にある中、高利を評価する投資家の需要に応じて発行総額は引き上げられる可能性が高いという。

  複数の関係者が明らかにした。それによると、9月第1週の条件決定に向けてすでに投資家への事前聞き取りを開始。そこで提示された参考水準は10年債で0.8%程度-0.9%程度、7年債は0.6%程度-0.7%程度。日産自の格付けは格付投資情報センター(R&I)でA+で、現在需要調査を行っている格付けが3段階下回るサッポロホールディングス10年債の0.30-0.31%や、1段階下の日本精工10年債の0.28-0.30%と比較してその高さが際立つ。

社債利率は低下傾向

   年初からの金利低下で運用に窮する投資マネーは社債市場に流入しており、ブルームバーグメリルリンチ指標によると社債発行利率は低下傾向にある。こうした中で、破格ともいえる利率を提示したのは、発行額の大きさと業績不振に加え、仏ルノーとのアライアンスの不透明性を含め、これまでの不祥事で既発債で損失を被った機関投資家の需要を喚起するには相応の利率が求めらるためだ。

  ある投資家は現在動いている銘柄は発行額が少額で単純には日産自とは比較できないが、発行額は需要に応じて1500億-2000億円に増額される可能性があるようだと話す。また、別の投資家は業績が良くない上、購入しても損失を受けかねない事象がいつ起きてもおかしくない会社なので、それなりに高い利率が求められていると語った。

  R&Iは21日のリポートで、日産は前会長の不正疑惑から露呈したガバナンス問題に取り組んでいるが、過去の販売拡大戦略のつまずきから収益基盤が揺らいでおり、収益力・キャッシュフロー創出力が低下していると指摘。仏ルノーとのアライアンスの安定化も重要な経営課題として残っており、枠組みが大きく変化する場合は評価を見直す可能性があるとしている。

  日産自動車の広報担当者は発行条件などの詳細は今後詰めるとした上で、調達資金は「短期借入金の返済などに充てる予定だ」と電子メールで回答した。同社が国内で社債を発行するのは2016年4月以来。低金利環境を活用し社債市場への復帰に挑む。

  日産自やサッポロHDなどのマーケティングレンジは以下の通り。

年限2019年9月発行の日産自債(A+)サッポロHD債(BBB+)日本精工債(A)16年4月の日産自債(実績)
3年0.1%程度ー0.2%程度
5年0.4%程度ー0.5%程度
利率0.15%(800億円)
7年0.6%程度ー0.7%程度0.20-0.21%(100億円)0.19-0.21%(100億円程度)
利率0.22%(250億円)
10年0.8%程度ー0.9%程度0.30-0.31%(100億円)0.28-0.30%(100億円程度)
利率0.33%(200億円)
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