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マイナス金利は「軽い麻薬」、欧州企業は利用拒む-資金調達進まず

  • 「中毒になる効果があり、避けたい」-仏ヴァレオCEO
  • 笛吹けど踊らずの企業、ECBの追加金融緩和に疑問生じる

自動運転革命の旗手として、フランスの自動車部品メーカー、ヴァレオはかつて株式市場でもてはやされた。それが中国経済の減速と排ガス規制の変更で株価は急落し、信用格付けも打撃を受けた。

  債券市場だけ見ていれば、そんな状況はうかがい知れない。2022年償還のヴァレオ社債利回りは7月にマイナスへと低下した。その他5本の社債利回りもプラス0.6%未満で取引されている。

  ヴァレオにとっては超割安なコストで資金を調達する絶好の機会のように思われるが、同社にその関心はない。この事実は、欧州中央銀行(ECB)が企業に野心を取り戻させるのがいかに難しいかを端的に示す。

  ヴァレオのジャック・アシェンブロワ最高経営責任者(CEO)は「低金利は軽い麻薬のようなものだ」とし、「中毒性があり、当社としてはこれを避けたい。借り入れコストが安いから負債を増やそう、とはしない」と語った。

  ブルームバーグがまとめたデータによると、欧州企業ではユニリーバやSAPの社債利回りもマイナスで、全世界で利回りがマイナスとなっている社債の規模は1兆1000億ユーロ(約130兆円)に上る。全ての市場を合わせるとマイナス利回りの債券は先週で16兆7000億ドル(約1780兆円)と、過去最高を更新。ECBが追加緩和に踏み切れば、さらに増える公算が大きい。

Size of negative-yielding corporate bond market surges

  ブルームバーグ・インテリジェンスのクレジットストラテジスト、マヘシュ・ビマリンガム氏は「欧州企業の負債比率は低い。多くの企業がマイナスまたは記録的に低い金利で社債を発行できる環境にあるにもかかわらず、この比率は現在同様の水準にとどまりそうだ」と予想。「欧州の見通しを踏まえれば、投資に対する潜在的なリターンは極めて不確実に思われる。そうであれば投資のために債務を膨らませる誘因は働きにくい」と指摘した。

  今年に入りマイナスの利回りで社債を発行した企業は、フランスの高級品メーカー、LVMHモエヘネシー・ルイヴィトンや製薬会社サノフィなど一握りで、多くが続くという状況にはなっていない。

  企業が慎重な姿勢に終始するなら、追加緩和で企業活動とインフレを活性化させるというECBの戦略にも疑問が生じる。米ブラックロック副会長でスイス国立銀行(中央銀行)元総裁のフィリップ・ヒルデブラント氏はブルームバーグテレビジョンとのインタビューで、ECBは既存の措置を強化しても「単にもはや機能しない」と述べた。

Stable Leverage

Europe's investment-grade companies have refrained from gorging on debt

Source: Fitch

Note: Excludes utilities; 2019 figure is a forecast

原題:If Negative Yields Are a Drug, Europe Is Just Saying No(抜粋)

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