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トランプ大統領、中国製品3000億ドル相当に関税へ-9月1日から

更新日時
  • 「米国が追加関税を実施なら対抗措置講じる」-中国外務省報道官
  • 中国からの輸入のほぼ全てが制裁関税の対象に-いきなり緊張激化
CHINA-ECONOMY
Photographer: AFP/Getty Images
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トランプ米大統領は1日、現時点で制裁関税の対象となっていない中国からの輸入品3000億ドル(約32兆2300億円)相当に10%の追加関税を課すと発表し、中国との貿易戦争をいきなりエスカレートさせた。この関税が発動されれば、米消費者はこれまでより直接的な影響を被る見込み。

  トランプ大統領はツイッターで、この新たな関税は9月1日から賦課されると説明した。また大統領はその後、スマートフォンやノート型パソコン、子供服などを対象とする追加関税について、税率は25%を「はるかに上回る」可能性があると述べた。2500億ドル程度の中国産品を対象とする25%の追加関税は継続することから、中国からの輸入のほぼ全てが制裁関税の対象となる見通し。

President Trump Departs White House For Ohio

ホワイトハウスで記者団に語るトランプ大統領(8月1日)

Photographer: Al Drago/Bloomberg

  今回の発表は対中通商関係を巡ってトランプ政権による最も強い緊張激化の動きとなる。そして米中首脳が6月の大阪での20カ国・地域(G20)首脳会議の際の会談で合意した「休戦」はあっけない幕切れとなった。

  中国の王毅外相は2日、米政権の関税方針に関する中国側の初めての正式な反応となるコメントを発表。同相は「新たな関税を賦課することは、貿易摩擦への正しい解決策では決してない」と、タイ・バンコクでの東南アジア諸国連合(ASEAN)地域フォーラム(ARF)に合わせて現地の中国テレビ局に語った。

  中国外務省の華春瑩報道官は2日の定例会見で、「米国が追加関税を実施するのであれば、中国として必要な対抗措置を講じなければならないだろう」と言明。どのような措置となるかは詳述しなかった。

  米株式市場は関税発表を受け反落、S&P500種株価指数とダウ工業株30種平均、ナスダック総合指数はいずれも下げて終わった。米国債相場が大幅に値上がりした一方、ニューヨーク原油先物相場は8%近く下落し、この4年余りで最大の下げとなった。

  トランプ大統領は、中国側が大阪での首脳会談で約束した米国産農産物の購入拡大などを実行していないとツイート。その後、新たな関税賦課の方針発表後に株価が下落したことについて、「全く懸念していない」と記者団にコメントした。

  トランプ大統領はオハイオ州シンシナティでの1日夜の政治集会でも中国に言及した。「彼らはわれわれとの取引を取りまとめたい考えだと思うが、はっきり分からない」と言明。「合意が成立する時まで、われわれは中国に徹底的に関税を課すことになるだろう」と述べた。

  上海での協議に詳しい関係者6人の話では、ライトハイザー米通商代表部(USTR)代表とムニューシン財務長官に対し、中国からの新たな提案は一切なかったという。

  トランプ大統領は新たな関税を巡る一連のツイートで、さらなる協議の扉は開いたままとする姿勢を示した。「包括的な通商合意に関して中国との前向きな対話を継続することをわれわれは期待する。両国の未来は非常に明るいと感じている!」と述べた。その後、オハイオ州の集会出席のためホワイトハウスを離れる際に記者団に、習近平国家主席の貿易戦争解決に向けた動きは「十分に迅速ではない」と語った。

  上海で今週行われた協議の後、米中は両国の交渉担当者が9月初めにワシントンで再び協議に臨む予定だとしている。トランプ政権に近い複数の関係者は、引き続き予定通り協議を行う方針だと話した。

  ただ関係者によると、2020年米大統領選後の政権交代の可能性を見越して、中国が協議を来年まで引き延ばそうとしているように見られるとして、トランプ大統領と側近らは懸念を強めているという。

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ムニューシン長官やライトハイザー代表、中国の劉鶴副首相(7月31日、上海)

Liu He, right, with Steven Mnuchin and Robert Lighthizer

  事情に詳しい複数の関係者によれば、新たな関税賦課の表明の前にホワイトハウスの大統領執務室で開かれた会合では、中国に前もって通告すべきだとムニューシン財務長官が提案したが、トランプ大統領はこれを退けていた。

  ワシントンの中国大使館の報道官にコメントを求めたが、同報道官は北京の中国商務省に問い合わせるよう求めた。

  米国商業会議所のエグゼクティブ・バイス・プレジデント(国際問題責任者)、マイロン・ブリリアント氏は「中国からの輸入品3000億ドル相当への追加関税10%賦課は米企業や農家、労働者、消費者の痛みを増し、本来力強いはずの米経済を弱体化させるだけだろう」と指摘した。

  トランプ政権が5月に発表した3000億ドル相当の対象品リストの草案には、幅広い消費・テクノロジー関連製品が掲載されており、「iPhone(アイフォーン)」などアップルの主力製品や玩具、靴、衣料品などが含まれる。USTRはこの日、新たな対中関税の対象となる中国製品の最終リストは数日中に発表されると説明した。

  ルネサンス・マクロ・リサーチの経済担当責任者、ニール・ダッタ氏はリポートで「過去の関税賦課を免れた消費財の多くが対象となった」とし、「これは成長への若干の打撃となるが、消費者への影響がより明白になる可能性が高い。既に一部の影響は出ているが、このコストを企業が負担できるかどうかははっきりしない」と指摘した。

原題:Trump Ratchets Up Trade War With New China Tariffs; Markets Sink(抜粋)

(5段落目に中国外務省報道官のコメントを追加するなどして更新します.)
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