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リブラを止めるな、圧倒的な利便性で金融弱者救う-山岡前日銀局長

  • 通貨の信認あれば金融政策に大きな影響なし、過度に恐れる必要ない
  • 通貨の信認が低下したら資金逃避がより急速に起こる可能性も
Libra Facebook : Illustration
Photographer: Chesnot/Getty Images Europe
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前日本銀行決済機構局長の山岡浩巳氏は、米フェイスブックが計画するデジタル通貨「リブラ」の利便性は「圧倒的」であり、送金や支払い手段がなく困っている人が世界中にいる中、新たな技術を活用して金融弱者を救おうとする動きを「止めることは難しいし、止めるべきでもない」と述べた。

  山岡氏は25日のインタビューで、マネーロンダリング(資金洗浄)対策などさまざまな規制について議論する必要があり、 フェイスブックが目指す来年前半の実用化は難しいが、ブロックチェーン(分散型台帳技術)技術を使った送金、支払い決済が今後2年程度で実現する可能性は高いとの見方を示した。

  6月のリブラ計画の公表以来、世界の金融当局から警戒の声が上がっている。黒田東彦総裁は17日、フランスでの主要7カ国(G7)財務相・中央銀行総裁会議に先立ち、「実行されれば大きな影響があり得る。国際的に十分検討し、必要な規制等を考えていく必要がある」と言明。会議後のG7議長総括は「最高水準の金融規制を満たす必要があることに合意した」と説明した。

リブラ関連原稿

  山岡氏は、金融当局がこれほど警戒するのは「ビットコイン誕生から10年たって初めて、本当に支払いや送金に使われそうな手段が登場してきたことが背景にある」とみる。値動きが激しく投機対象だった他の暗号資産と異なり、リブラは100%安全資産が裏付けで、二十数億人と言われるフェイスブック利用者の一部が使うだけでも主要通貨を超える規模になると指摘する。

為替に大きな影響も

  リブラが実現した場合、通貨の信認が低い国では海外送金だけでなく国内でも使われる可能性が高く、「その国の金融政策の有効性は失われるため相当な脅威になり得る」と分析。一方、通貨に対する信認が確保され、裏付け資産に採用されるような国では「金融政策に大きな影響を及ぼす可能性は低く、過度に恐れる必要はない」と語る。

  もっとも、リブラ協会が裏付け資産の比率を上げればその通貨に上昇圧力がかかり、下げれば下落圧力がかかるため、「リブラが巨大になれば為替の需給に非常に大きな影響を及ぼす可能性がある」と説明。主要通貨の当局にとって「無視できない存在になる」とみる。

  さらに、通貨の信認が低下した際、従来は外貨に換えて資金を流出させるのはそう簡単ではなかったが、リブラを使えば資金逃避がより急速に起こる可能性が高いという。「きちんとした政策運営を行うための規律付けにもなり得るが、各国の金融当局は本音ではそういう存在が出てくるのが怖いので、何だかんだと注文を付けているのが現状だろう」と語る。

  山岡氏は1986年東大法学部卒、日銀入行、国際通貨基金(IMF)日本理事代理、金融市場局長を経て、決済システム部門を統括する決済機構局長を最後に退任。2019年3月からフューチャー取締役。

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