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世界に打ち寄せる利下げの波に負の側面、資産バブルやゾンビ企業温存

  • 米金融当局が追加刺激策を先導へ-30、31両日にFOMC開催
  • 一層の緩和策で資産バブル生成の恐れ-UBSのエルモッティCEO

誰が裸で泳いでいたかは引き潮になって初めて分かるというウォーレン・バフェット氏の警鐘は、最近ではほとんど耳にしない。金融緩和の波が世界の金融市場に打ち寄せているからだ。

  米連邦準備制度と世界各国・地域の中央銀行は、経済成長の下支えとインフレ率の押し上げを試みているにすぎないが、当局による金利低下容認姿勢は、既に割高な資産価格を押し上げ、高利回りの追求をあおり高いリスクを伴う。

Views Of The Federal Reserve As Markets Watch For Interest Rate Liftoff

ワシントンの米連邦準備制度理事会(FRB)本部

Photographer: Andrew Harrer/Bloomberg

  UBSグループのセルジオ・エルモッティ最高経営責任者(CEO)は先週、一層の緩和政策が資産バブルを生成させかねないと警告。ブリッジウォーター・アソシエーツのレイ・ダリオ氏やグッゲンハイム・パートナーズのスコット・マイナード氏といった著名投資家も同様に警鐘を鳴らしている。

  マイナード氏は「米金融当局からのメッセージははっきりしている。最重要事項は経済成長と成長サイクルの延長だ。これは今年の積極的な利下げの可能性に扉を開くだろう。資産価格つり上げの時期に向かうと思うが、それは結局のところ持続可能ではない」と指摘した。

  裸で泳いでいる可能性があるのはどこか。既に厳しい視線を集めている資産クラスを以下に挙げた。

レバレッジド・ローン

  格付けがジャンク級(投機的水準)の企業に通常利用されるレバレッジド・ローン市場ほど懸念を集めている市場はほとんどない。レバレッジド・ローン債権は高い利回りに引きつけられる投資信託や年金基金、保険会社などの機関投資家の手元に直接もしくは証券化商品の形で行き着くことが一般的だ。

  しかし、レバレッジド・ローンの残高は米国だけでも1兆ドル(約108兆円)を超えており、企業債務の急増を後押ししている。調査会社コベナント・レビューの試算では、企業買収などにレバレッジド・ローンを利用する企業は、負債EBITDA(利払い・税金・減価償却・償却控除前利益)比率が7.7倍と、4年前の5.5倍から上昇。多大な投資マネーが供給の限られる債権を追い求めるため、企業側は低めの金利で借り入れでき、寛大な条件を引き出させており、債権者を保護する抑制と均衡が損なわれている。

プライベート・クレジット

  世界的な利回り追求の動きは、かつて銀行だけの領域だった市場にも広がっている。特に資本市場に通常アクセスできない中小企業向け融資が顕著な例だ。いわゆるプライベート・クレジット市場は約7660億ドルの規模に拡大し、近いうちに1兆ドル台に達するペースだ。

Private Debt Boom

Size of the market has swelled since the financial crisis

Source: Preqin

  UBSによれば、次の不況ではプライベート・クレジット投資での損失はレバレッジド・ローン投資の損失とは比べものにならないほど大きくなる恐れがあるという。

ゾンビ企業

  緩和マネーは、それがなければ閉鎖されたはずの一部企業の温存につながっている。そうした企業は、債務返済コストを長期にわたって営業利益でカバーすることができず、成長見通しが限られると定義される。国際決済銀行(BIS)によると、これらの企業は現在、先進国の非金融上場株の約6%を占めている。

ソブリン債

  欧州で屈指の高リスク国債でさえも、前例のない水準に値上がりしている。わずか数年前に史上最大規模の債務再編を実施したギリシャの借り入れコストは今、過去最低水準にあり、指標10年国債利回りは先週2%を下回った。

  イタリアは今月初めに2年債利回りがマイナス圏に低下し、10年債利回りは今年初めの3%超から半分の水準となった。政治的リスクはいずれも弱まっているが、両国は依然として膨大な債務を背負っている。

株式

  米企業の収益見通しは精彩を欠き、通商問題を巡る懸念が残るものの、S&P500種株価指数の予想株価収益率(PER)は17倍だ。インターネット株バブルが破裂する前の25倍強には及ばないが、ウォール街のベテランの一部は特定分野でリスクが高まりつつあると警告している。リサーチ・アフィリエーツ創業者のロブ・アーノット氏は最近、大手ハイテク企業株のバブルの可能性を指摘。フェイスブックとアマゾン・ドット・コム、ネットフリックス、グーグルの親会社アルファベットで構成されるFANG銘柄は2013年以来1167%上昇し、S&P500種の10倍強のペースだ。

Research Affiliate's Arnott has pointed to big tech for potential bubble watch

不動産

  ブルームバーグ・エコノミクスによる今月の分析では、カナダとニュージーランドの不動産市場が住宅価格の調整に対し最も脆弱(ぜいじゃく)なことが分かった。 住宅価格と賃料や所得の比率、インフレ調整後の住宅価格、家計債務を考慮に入れた「住宅バブル・ダッシュボード」によると、オーストラリアとノルウェー、スウェーデン、英国も懸念を集めているという。

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原題:Asset Bubbles to Zombie Companies: The Dark Side of Rate Cuts(抜粋)

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