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Photographer: Keith Bedford/Bloomberg

日本の超低金利時代の生き残り戦術、金利低下進む世界に警鐘

  • 日本のゼロ金利政策から20年、投資マネーの国外流出に拍車
  • 利回りを探求する日本人投資家の極端さ鮮明に
A pedestrian walks past a construction site in Tokyo, Japan, on Monday, May 13, 2019. Japan’s economy surprised with solid growth during the first quarter of the year, but that is likely to give little comfort to policy makers worried about economic momentum ahead of a looming sales tax increase.
Photographer: Keith Bedford/Bloomberg

世界がかつてない低金利とマイナス利回り債券の時代に入る中、日本の経験は投資家に貴重な前例を提示している。

  日本がゼロ金利の先駆者となってから20年。黒田東彦総裁の記録的な景気刺激策導入からは6年余りが経過した。こうした流れを目の当たりにしてきたマネーマネジャーらは、こんな時代の生き残り戦術について独自の洞察を示している。

Bank Of Japan Governor Haruhiko Kuroda Speaks At IMF Lecture Series

日銀の黒田総裁

Photographer: Andrew Harrer/Bloomberg

  超低金利が外国への多額の資金流出に拍車を掛ける可能性があるのは明らかだ。しかし、もっと鮮明なのは、利回りを探し求める日本人投資家の極端さだ。彼らは株式や不動産に投資を進めたほか、欧州の周辺国や新興国の債券を買い込み、多数のローンをまとめた証券への投資も積み上げた。

  日興アセットマネジメントの三品雅人機関投資家事業本部長は、「金融機関にすごく難しい局面になっている。リスクが高いものに投資すればリターンも高いが、資本を吹き飛ばしてしまうリスクがある」と述べた。

Mass Exodus

Japanese funds have been stepping up overseas investment for higher returns

Sources: Bloomberg, Bank of Japan

Note: The figure is a sum of direct investment and net buying of foreign bonds and stocks, on a 12-month average basis

  リターンの追求が年々厳しさを増すのに伴い、人気の取引に投資家が殺到することになり、最も保守的な投資家でさえも高リスク資産に群がるようなった。そうした中、為替相場や金融政策が変化すれば、価格や資金フロー急変の引き金になる危険性が増している。

  日本郵政傘下のゆうちょ銀行は、超低金利が招いた外国への資金流出の大きさを示す良い例で、欧州など世界の資産運用者もまねる必要があるかもしれない。ゆうちょ銀行は5750億ドル(約62兆円)相当の外債ポートフォリオを10年間で構築し、パシフィック・インベストメント・マネジメント(PIMCO)やブラックロック、バンガードなどのような運用業界の巨人と肩を並べるほどに拡大した。農林中央金庫はもっと画期的な道を切り開いており、世界で約680億ドル相当のローン担保証券(CLO)を購入した。

Risk On

Japanese investors have been shifting to riskier assets from government bonds

Sources: Bloomberg, Bank of Japan

Note: The chart shows a share of each asset class in total assets held by banks, life insurers, pension funds and households

先行きを占う

  債券の投資収益でかろうじてやりくりすることに関しては、日本の生命保険会社は国内外の風向きを見極めている。

  近年はフランス国債を積み上げてきた生保は同国債のリターンがマイナスに転じたのを受け、利回りがまだプラスの債券を買うため欧州大陸の周辺国に関心をシフト。ノルウェーやイタリアなどを物色しており、欧州中央銀行(ECB)が金融緩和を再開すれば、こうしたトレンドは持続する可能性が高い。

Chart

  日本の投資家全体による5月のスペイン債券購入は社債を含めて記録的額に上った。高リスクの新興国にも食指を伸ばしており、同月にはインドネシア債の購入でも過去最大を更新した。

  しかし、静岡銀行の柴田久頭取は外債運用に注意を促している。同頭取は、確かなスプレッドはあるが、ドル調達コストがこれを一気にマイナスに転じさせる恐れがあると警告する。

  銀行や生保では、顧客らの預金や保険料といった債務の大部分が円建てのため、外為市場の急変に備える必要があることがジレンマだ。多くのポートフォリオの土台である米国債では、ヘッジコストを考慮に入れるとリターンはもはやほとんどなくなる。

  こうした中、柴田氏はストラクチャードファイナンス事業を強化することで、異なる新たな道を切り開こうとしており、国内での案件のアレンジに取り組み、いずれは海外案件も手掛ける方針だ。また、日本国債の保有を過去2年で9割減らし、地銀の国債離れを先導している。これについて柴田氏は「別にしたくてしたわけではない」と述べ、結局のところ社債や政府保証債、住宅ローン担保証券(RMBS)などを買うことしかできないと説明した。

Leaving the Nest

Japanese regional banks have been shifting away from government bonds

Source: Regional Banks Association of Japan

原題:Years of Living Dangerously: Japan’s Low-Yield Warning to World(抜粋)

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