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パウエルFRB議長、労働需給逼迫で成長の果実行き渡らせたい考えか

  • 米金融当局は今週のFOMCで10年半ぶりの利下げを決める見通し
  • インフレ高進の兆しなく、景気拡大を持続させるのが可能な状況

31日の米連邦公開市場委員会(FOMC)終了後、パウエル連邦準備制度理事会(FRB)議長は、恐らく今年これまでと同じようなフレーズで記者会見を始めるのではないだろうか。それは、米金融当局にとって「最重要な目標の1つは景気拡大を持続させることだ」という趣旨の発言だ。

  当局の責務についての一見味気ない説明の背後には、大きな野望がある。パウエル議長は、インフレを心配する前任者の多くが避けてきた課題に実質的に取り組もうとしている。生活苦のアフリカ系米国人や農村部の白人貧困層など、これまで経済成長の恩恵にほとんどあずかることのなかった人々に成長の果実を行き渡らせるというわけだ。

Labor force participation rises as unemployment falls

  パウエル議長は10日の下院金融委員会での公聴会で、労働市場の改善が「労働力の末端にあるコミュニティーにも到達し始めている」と証言。「こうしたプロセスをあと数年継続させるのが極めて重要だ」と語った。

  これは、米経済の成長率を長期的な巡航速度の2%程度ないし、理想的には幾分それを上回るペースに維持するとともに、エコノミストの多くが持続不可能と考える水準に失業率を抑えて労働需給を逼迫(ひっぱく)気味に保つことを意味する。

Fed Chair Powell Testifies Before House Financial Services Committee

下院金融委員会で証言したパウエル議長(7月10日)

Photographer: Andrew Harrer/Bloomberg

  このような取り組みを支援すると同時に、米国を海外の下振れリスクから守るため、パウエル議長率いるFOMCメンバーは30、31両日の会合で0.25ポイントの金利引き下げを決める見通しだ。利下げすれば約10年半ぶりとなる。

  バイデン前副大統領の顧問を務めた経歴を持ち、現在は予算・政策優先センターの上級研究員、ジャレッド・バーンスタイン氏は「長年取り残されてきた人々に、売り手市場となっている労働市場の恩恵を広げることにこれほど重点を置くFRB議長は記憶にない」と話した。

  失業率が約半世紀ぶりの低水準にあってもインフレは抑制され、高進の兆しが全くないことから、パウエル議長は過去最長を更新した現行の景気拡大局面をさらに息の長いものとすることが可能となっている。実際、米インフレ率は何年にもわたって当局目標の2%を下回って推移しており、物価圧力の多少の高まりは当局にとって歓迎すべきものだろう。

Black, Hispanic Unemployment Near Record Lows

原題:Powell Likes It Hot as He Tees Up First Fed Rate Cut in a Decade(抜粋)

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