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沈む日本郵政艦隊-復興握る株価、不祥事の荒波を乗り越えるか

更新日時
  • 今期純利益予想は会社計画下回る水準まで引き下げ-SMBC日興
  • 地方顧客の信頼厚い営業基盤、収益は回復へ-三井住友DS石山氏

時価総額が約5兆円の巨艦、日本郵政の株価が沈んでいる。グループの不祥事が収益に影響を与えるとの懸念が出ている半面、市場では連日下落した同社株は今が買いのチャンスとの声も聞こえてくる。

  9月にも実施が見込まれる大型の株式売り出しで株安が加速するという投資家の見方がある。ミョウジョウ・アセット・マネジメントの菊池真代表取締役は需給悪化に加え「かんぽ生命は収益悪化を止めるためにノルマ営業をかけていたが裏目に出てしまったのが響いた」と話し、親会社である日本郵政の株価低迷はしばらく続くとみる。菊池氏は「強力な営業がなくなることに加えて風評被害も無視できない。保険契約の減少が想定されるため、収益性はさらに悪化する」と見込んでいる。

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郵政3社のロゴ

  かんぽ生命は14日、郵便局とかんぽ生命支店からの積極的な保険商品の提案を7ー8月は自粛すると発表した。日本郵政は2020年3月期純利益を前期比12%減の4200億円と見込む。SMBC日興証券は純利益予想を従来の4396億円から4129億円に見直し、会社計画を下回る水準まで引き下げた。かんぽ生命の営業自粛などで日本郵便の業績にも金融窓口事業の保険の受託手数料減という形で表れると分析した。

  もっとも、いまの株価水準はボトムに近いとの見方もある。三井住友DSアセットマネジメントの石山仁チーフストラテジストは「日本郵政が持つ営業基盤は圧倒的で、特に地方では顧客からの信頼も厚く、ブルーオーシャンの状況は誰にも奪われることない」とみる。今後は経営の透明性を高めて新たな営業体制が整えば「収益回復が期待できる」と指摘する。加えて、日本郵政株の配当利回りは4%超とTOPIX平均の2.5%を上回り、株価には割安感がある。石山氏は「投資機会をうかがう水準に近づいている」と話す。

  ゆうちょ銀行の投信問題に次ぐグループ不祥事を受けて、日本郵政の株価は下げ止まらない。かんぽ生命が謝罪会見を開いた10日以降に8営業日連続で下落。22日には上場来安値1095円を付けた。政府は日本郵政株の第三次売却に向けた手続きを進めているが、東日本大震災の復興財源として合計4兆円を調達するためには残り1.2兆円超の確保が必要。単純に最大売り出し株数で割った最低株価の1132円を現在の株価は下回っている。

  麻生太郎財務相は23日の閣議後会見で、日本郵政株の売却時期について「株式市場の動向や経営の状況など注視しながら検討していく」と述べた。ブルームバーグの取材に対して日本郵政の広報担当者はコメントを控え、かんぽ生命の広報部は「契約乗り換えに際し、お客さまに不利益が生じうる契約が発生したことについてお詫び申し上げます。信頼の回復に全力で取り組んでまいります」と電子メールで回答した。

  SMBC日興証券の佐藤雅彦アナリストは、政府による日本郵政株の売り出しについて「22年度までに累計4兆円『程度』の売却収入を得るとされているため、4兆円未満でも売り出される可能性はある」とみていた。相次いだ不祥事の荒波を乗り越えられるか。傾き始めた艦隊の浮沈は東北の未来にも影響を与える。

郵政3社、上場以降の株価
(第6段落に麻生財務相やかんぽ生命のコメントなどを追加して更新します.)
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