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日産は不人気車種のセダンに逆張り、魅力向上へ投資強化

  • 若者はセダンに関心、SUVは退屈なファミリーカーに-日産常務
  • トヨタやフォードはSUV強化、失敗なら日産はさらなる業績悪化も

日産自動車は世界的なSUVブームの中、人気を失いつつあるセダンの市場に対し強気の見通しを持っており、今後、セダンの魅力向上への投資を強化していく方針だ。

  日産など日本車メーカーが苦戦する米国市場では昨年、SUVを含むライトトラックの販売が約1200万台と過去最高を記録。新車販売の7割近い水準となり各社はSUVへのシフトを進めている。米フォード・モーターはセダンを大幅に縮小する方針を打ち出し、トヨタ自動車はアラバマ州の新工場で小型セダンのカローラを生産する計画を撤回して新型SUVの製造を決めた。日産の動きはこれらに逆行するものだ。

Nissan Bets on New Skyline Model to Heal Brand Image After Ghosn

日産スカイライン

Photographer: Noriko Hayashi/Bloomberg

  日産でグローバル商品戦略などを担当するイヴァン・エスピノーサ常務執行役員は横浜市の本社でのインタビューで、積載能力や座面が高いことによる見切りのよさなどから支持を集めてきたSUVは「徐々にかつてのミニバンのように退屈なファミリーカーと見られるようになるだろう」とみている。

  日産の戦略の根拠となっているのは同社が昨年から今年にかけて11カ国8000人のドライバーを対象に実施した調査だ。セダンを所有していないドライバーの75%が現在か将来にセダンを購入対象とすると回答。特に20代から30代で構成されるミレニアル世代では8割に達したという。

  エスピノーサ氏によると、セダン強化の具体策として自動運転や電動車、車とインターネットを接続させてさまざまなサービスを展開するコネクティビティーなどの新技術を積極的に搭載するほか、四輪駆動車の設定を増やすなど若者のニーズを捉える選択肢を増やすとしている。

  日産は16日、同社の自動運転技術「プロパイロット」の最新版を9月発売の新型セダン「スカイライン」のハイブリッド車に初めて標準装備すると発表した。

  マッコーリー・キャピタル証券のアナリスト、ジャネット・ルイス氏はSUVとセダンでは一般的にSUVの方が収益性が高いが、日本のメーカーにとってその差は米国メーカーほど大きくならないと前置きした上で、「米国メーカーがセダン市場を縮小させている中、日本の自動車メーカーにとってチャンスになることは間違いない」と指摘した。

リスクも

  カルロス・ゴーン前会長が会社法違反(特別背任)で逮捕、起訴されたことによる混乱もあり、日産は今期(2020年3月期)の営業利益が2300億円と09年3月期以降で最も低い水準を見込む。米国での販売改善は会社全体の立て直しに不可欠で、セダン重視の戦略が外れれば業績のさらなる悪化につながるリスクもある。

  ロールス・ロイスやベントレー、ランボルギーニなども投入に踏み切り、市場にはSUVがあふれている。さわかみ投信の吉田達生アナリストは、SUVが市場にあふれているという日産の考え方は理解できるとした上で、そのことがセダンの回帰に直接つながるかについては懐疑的な見方を示した。

  エスピノーサ氏は電気自動車(EV)の普及も長期的には日産の戦略にとって追い風になる可能性があるとみる。一般的にSUVよりセダンの方が軽量でEVでは長い航続距離が得ることができるためだ。

  マッコーリーキャピタル証のルイス氏は、SUV人気の要因の一つである見切りのよさについて、「自動運転が普及していけばこの利点もそれほど重要ではなくなっていくだろう」と話した。

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