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ケルトン教授、金融政策は財政政策に従属的な存在へ-インタビュー

  • 中央銀行は独立性を失ったとは言わないだろうが、結局は言いなりに
  • 金融政策は限界、金利の引き上げがむしろ物価を押し上げる可能性も

ニューヨーク州立大ストーニーブルック校のステファニー・ケルトン教授は、日本は金融政策と財政政策の協調を示す先行例になり、世界的にも中央銀行が財政政策により協調的に従う潮流が強まるだろうとの見方を示した。

  18日のインタビューで、世界的にも「財政政策と金融政策を今よりもっと協調的に運営することが将来の潮流になるのはほぼ必至」であり、中央銀行は「財政政策により協調的に行動するようになるだろう」と述べた。

  その上で、日本銀行は「その先駆けだ。最初はゼロ金利政策、次に量的緩和政策で世界を先導し、財政との協調でも世界は日銀の後を追うだろう。これはほとんど不可避だ」と指摘。中央銀行は「独立性を失ったとは言わないだろうし、経済指標を見て行動したと言うだろうが、結局は財政政策の言いなりになるだろう」と語った。

  ケルトン教授は、インフレにならない限り財政赤字を出し続けても問題ないとする「現代貨幣理論(MMT)」の主唱者。2016年の米大統領選の民主党指名争いで善戦したバーニー・サンダース上院議員の顧問を務めた。アレクサンドリア・オカシオコルテス下院議員ら同党議員が社会政策の原資としてMMTを支持する一方、ポール・クルーグマン氏ら主流派経済学者は異端視する。

  ケルトン教授は、リーマンショック後の金融危機で「中央銀行は金利を0%に引き下げたが足りず、量的緩和など非伝統的な金融政策に踏み切ったがやはり足りず、矢が尽きてしまった」と指摘。「どこかの段階で金融政策だけでは限界があることに、さすがに皆が気付き始めるだろう」と述べた。

利上げで物価上昇も

  急激な円高が進行した場合、日銀はマイナス金利の深掘りを行うとの見方も一部にあるが、ケルトン教授はむしろ、金利の引き上げが物価を押し上げる可能性があると言明。国債保有者は利子所得の増加により支出を増やし、それが物価上昇圧力になることに加え、金利上昇は企業にとってコスト上昇になるため、利益率を維持するため価格を引き上げるかもしれないと語った。

  安倍晋三政権が10月の消費増税前に追加的な財政支出を行い、日銀は長期国債の買い入れ増額で政府との協調姿勢を示すとの見方も根強い。黒田東彦総裁は6月20日の会見で、「仮に現在の長短金利操作を維持する必要性があり、その間に国債増発によって長期金利が上がることが防止されるという意味では、財政政策と金融政策の協調になり得る」と述べた。

  ケルトン教授は、仮にそのような政策協調が行われても、一方の足で消費増税という「ブレーキをかけながら、もう片方の足でアクセルを踏むようなもの」であり、MMTの主張とは相いれないとの見解を示した。

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