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中国の対米切り札、レアアース輸出制限は日本企業に恩恵も-日立金属

  • 中国が輸出規制を実施しても、十分な効果が得られるかは懐疑的
  • EV向けなど重希土類を使わない磁石を開発、資源リスク低減へ

米中貿易交渉が難航する中、中国が電気自動車(EV)用モーター向けの高性能磁石などに使われるレアアース(希土類)の輸出を制限した場合、日本の磁石メーカーにとって恩恵となる可能性もある。

  国内磁石大手、日立金属機能部材企画部の井内利幸主管部員は8日のインタビューで、中国が全面的な輸出制限に踏み切ったとしても同国にとって十分な効果が得られるのかは懐疑的と指摘。「最終的に困るのは中国ではないか」とし、レアアースの使用量削減など資源リスクに備えている日本のメーカーが有利になる可能性があるとの見解を示した。

  日立金属は中国以外での調達が難しく価格も高い重希土類を一切使わない磁石を開発しており、次世代車用モーターでの採用を見込んでいる。レアアースは17種類の元素の総称で、ハイテク製品や軍事装備品に幅広く使用されている。

EV化で追い風に

磁石はレアアースの最大市場 

出所:中国国際金融

注:レアアースの用途別需要;その他はガラス添加剤、蛍光体を含む

  磁石はレアアース消費全体の4分の1を占める最大市場で、今後EVの基幹部品であるモーター向けなど自動車用途の磁石需要が急拡大することで、日本と中国の磁石メーカー間の競争も激しさを増すことが予測されている。

Hitachi Metals Ltd.'s Nd-Fe-B Magnets NEOMAX

日立金属の希土類磁石「NEOMAX」

Source: Hitachi Metals

  2010年、日中間の領土問題を巡り中国政府がとった事実上の禁輸措置に世界の産業が混乱に陥った「レアアース・ショック」以降、日本企業は資源供給の途絶リスクに備えてきた。日立金属はオーストラリアの資源会社ライナスから供給を受けるなど中国以外の地域からの調達を増やした一方、自動車メーカーもレアアースの使用量削減に取り組むなど対策をとってきた。

  最強の磁石と呼ばれるネオジム磁石の原料調達で鍵となるのがジスプロシウムなどの重希土類だ。耐熱性を高めるために添加されるジスプロシウムは特に中国に偏在しており代替が難しい。日立金属では重希土類を使わないか、使用量をごく微量に抑えるなどして特性を出す方法の開発に加え、磁石の製造工程で発生したくずから重希土類を取り出すなど、リサイクル事業も強化する。

  中国の国家発展改革委員会は6月、レアアースの輸出規制案を精査していることを明らかにした。一方、米商務省も即座にレアアースの供給が絶たれないよう「前例のない措置を取る」と表明。中国政府は輸出制限措置の詳細を明らかにはしていないが、米国だけでなく日本も含めた全世界的な制限となる可能性も否定できない。中国はレアアースの世界生産の7割を占める。

  取材に同席した日立金属の諏訪部繁和執行役員は、これまでに対策を講じていることで、中国の輸出制限が同社の原料調達上のリスクとなる可能性は10年前に比べて低下していると指摘。「数カ月止まったくらいでは全く問題ではない」と述べた。それでも供給不安が完全に拭えているわけではなく、「長期的に中国から全く出てこないことになれば、いろいろな影響が世界的に出る」との見解を示した。

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