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岐路に立つ良品計画、成長の鍵は店舗大型化と値下げ (訂正)

訂正済み
  • 来春開設予定のベトナム1号店は中国進出時と比べ2倍以上の面積
  • ASEAN諸国への生産移管で価格低減へ、「ブランド商品」脱却狙う

簡素なデザインの生活雑貨「無印良品」を展開する良品計画が岐路に立っている。売上高の4割を占め成長の要である海外では、最大市場の中国で2019年2月期の既存店売上高が初の前年割れとなった。有望市場でブレーキがかかる中、松崎暁社長は店舗の大型化と値下げで長期的な成長を図る。

  国内では「わけあって、安い」というキャッチフレーズでシンプルな作りの良い品を安く提供するというコンセプトで成長した同社だが、進出した海外では皮肉にも発展途上国を中心にやや高価な「ブランド品」と捉えられた。

  海外でも消費者の日常生活に溶け込むことが長期的な成長につながると考え、世界の主要都市で店舗を構えることを会社設立50年の節目の年である2030年の目標として掲げる。

Ryohin Kikaku Co. President Satoru Matsuzaki Interview

松崎暁社長

Photographer: Shoko Takayasu/Bloomberg

  松崎社長はインタビューで、来春ホーチミンに開設するベトナム1号店は、売り場面積が約2000平方メートルの大型店になることを明らかにした。05年に中国に進出した際と比べ2倍以上だ。同社の世界中の店舗の中で最安値を目指し「最初から勝負する」と意気込む。年内にオープン予定のフィンランド1号店も3000平方メートルを超える予定だ。

  松崎社長は店舗の大型化について、約7000種の商品を扱う同社の「ステージが変わった」ことを意味すると説明する。「1店舗のサイズは大きくして、無印の世界観を体験できるような出店にする」。年間30店舗のペースで出店する中国では、うち10店舗を大型店にする考えだ。

地域別売上高

海外は中華圏の割合が最も大きい

出所:ブルームバーグ

注:2019年2月期の連結売上高ベース

  店舗の大型化には、費用増加のリスクも伴う。今月10日に発表した第1四半期(3-5月期)決算では、売上高に占める販管費の割合が4割を超え、第1四半期としては13年度以来6年ぶりの営業減益となった。松崎社長によると、国内で物流費などが上昇したほか、国内外で大型店の初期費用がかさんだ。今後も海外で大型店の展開が予定されており、いかに効率よく費用を抑えるかが課題だ。

脱メード・イン・ジャパン

  店舗の大型化とともに力を入れているのが値下げだ。国内では価格を見直したことで客足の増加につながったため、世界各地で値下げを行う予定で、生産拠点と物流を見直している。

  「価格合理性を出すためには、地産地消で現地で作るのが一番いい」。松崎社長によると、衣服は既に産地の8割弱を東南アジア諸国連合(ASEAN)加盟国が占めるが、化粧品や衣装ケースなどの生活雑貨は日本で5割弱を作っている。「ものづくりの地域割りをどんどん変えて」いく予定だ。

  日本と自由貿易協定(FTA)を締結しているASEAN諸国に生産を移管することで減税や免税の措置を受けられ、アジアの市場にも近いことから物流も効率化する狙いがあるという。

  中国市場には、生活雑貨商品を日本から輸出しているため、国内と比べ25-30%くらい高い値段で売られていると松崎社長は話す。実態としては30%以上高いケースもある。日本製の低騒音の小型扇風機(大風量タイプ)が同社の中国のEコマースサイトで定価550元(約8700円)で販売されており、日本での税込み定価5890円と比べ約48%高くなっている。

  シティグループ証券の張影秋アナリストは「問題は生活雑貨」で、「コストに見合うパフォーマンスが体現できていない」と指摘する。

中国ではブランド品

  松崎社長は、無印良品はこれまで「中国ではブランド商品だった」が、消費者の嗜好(しこう)の変化が起きていると語る。「他人との差別化とか、物を持つことに意味があるということでブランドを買っていたのが、もっと日常的な物に目を向けて逆にいい商品であれば、別にブランド物でなくてもいいという形に変わりつつある」とし、「これはチャンス」だと感じている。

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中国・上海の「MUJI」店

Source: Ryohin Kikaku

  中国市場では将来、無印良品の商品を幅広い消費者が手にすることを目指している。昨年9月には中国で商品開発部門を設け、温かいお茶を季節に関係なく飲む中国人が日常的に使う水筒などの商品を独自に開発。価格の見直しも進めている。

  無印良品の価格が下がると、他メーカーとの差別化が難しくなるのではないかとの見方もある。消費者行動論を専門とする一橋大学の藤川佳則准教授は、生産地の海外移管による値下げについて、無印良品の商品の品質に価値を感じていた顧客層が、「その変化を主観的にどう受け止めるかがチャレンジだ」と指摘する。

  中国では、無印良品と類似する簡素なデザインの生活雑貨チェーンが台頭。「MINISO名創優品(メイソウ)」は日本円に換算して1000円以下でタンブラーやネッククッションなどの生活雑貨を販売している。13年の設立以来、店舗網は拡大し、同社ウェブサイトによると、日本をはじめ世界で3600店舗を展開する。インターネット大手の網易(ネットイース)もEコマースサイト「網易厳選」で攻勢をかける。

  こうした動きに対し松崎社長は、業界を問わず「新規プレーヤーがたくさん出てきている」とし、競合他社が目を引くキャンペーンや新商品を続々と登場させ、状況は「目まぐるしく変わる」と説明する。一方、同社の商品は、棚のサイズや中に入れるケースの大きさも規格が一定だ。長く使うことを想定し、急須などはふたが壊れても取り替えられるようパーツが販売されている。無印良品ブランドの「不変」の魅力で迎え撃つ方針だ。

(11段落のアナリストの名前を訂正します)
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