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自前のゴールドマンが欲しい中国に難路-CLSAの幹部離職で

  • 中信証券は2013年にCLSA買収-緊張関係で統合うまくいかず
  • 中国が海外で金融巡り影響力を誇示しようとするも困難浮き彫りに

今年1月、北京のフォーシーズンズホテルに数百人の従業員が集まる中、中国に自前のゴールドマン・サックスを構築するという重責を担う中信証券の張佑君会長が傘下CLSAの経営幹部らを名指しした上で、適正な資本利益率を達成する能力に疑問を投げ掛けた。インベストメントバンカーであふれた部屋での驚くべき叱責(しっせき)だった。

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中信証券の張佑君会長

  張会長の言葉に黙って耳を傾けていたCLSAの幹部らにとっては、3年にわたる波乱に満ちた張氏との関係に終止符が打たれることを意味した。ほぼ全員がその後の数週間で職を離れ、有力なグローバル投資銀行を誕生させるという中国の取り組みを頓挫させる恐れもある50人超の従業員離脱の幕開けとなった。

  匿名を条件に十数人の現職・元幹部を取材した結果、中国が海外で金融を巡る影響力を誇示しようとする中で同国が直面する困難が浮き彫りとなった。そこには踏みにじられた自尊心やボーナス削減、文化的な衝突もあった。中信証券が6年前にCLSAを買収し、最終的に中国共産党の意向に沿う大手国有企業の手にCLSAが委ねられ、こうなることは避けられなかったと漏らす者もいた。

  建銀国際の元シニアアドバイザーで、シュルト・リサーチを設立したポール・シュルト氏は「こうしたことが起こるのは時間の問題だった」と話す。

  中信証券とCLSAはいずれもコメントを控えた。

  両社の組み合わせは当初からぎこちなかった。中信証券は国家資本主義型のトップダウンブランドの産物である一方、2人の元ジャーナリストが香港で創業したCLSAは独立した性格を持つ企業だった。CLSAは鋭いリサーチに定評があり、共産党に批判的なこともあった。

CLSA Ltd. Chairman And Chief Executive Officer Jonathan Slone Interview

ジョナサン・スローン氏

  2013年のCLSA買収は当時のジョナサン・スローンCLSA最高経営責任者(CEO)と中信証券の王東明会長が指揮。中信証券がゴールドマンやモルガン・スタンレーなど海外勢と渡り合うため、CLSAの世界的な顧客リストを活用できるというのが前提だった。

  だが、これが実現することはなかった。中信証券によるCLSA買収から数年が経過しても、両社の従業員は従来のやり方に固執することが多かった。張氏が16年に王氏から会長職を引き継いだ後、統合への取り組みを強化すると両社の間で緊張が高まっていった。

CITIC Securities chairman ousted for failing to prevent insider trading

王東明氏

  中国経済の減速や世界の資本市場を巡る厳しい環境を受けたCLSAの業績低迷によって、両社間の摩擦はさらに激しくなった。

  そして緊張は昨年終盤にピークを迎えることになった。中国華信能源の子会社が発行した債券で約3100万ドル(現行レートで約34億円)の損失をCLSAが計上したことを受け、中信証券の張会長はシニアマネジャーらにボーナスカットを通告した。

  これに対し、CLSAのスローン氏は北京で開かれた会議で中信証券のバンカーらが推進してきた案件であり、CLSAの従業員が影響を受けるべきではないと主張して反対した。張会長はこれを押し切る形でボーナス原資を前年から約60%減らしたという。

  国際派のCLSA幹部の相次ぐ離脱で中国国外での案件獲得は特に難しくなるかもしれない。

  アジア最大級の独立系投資調査会社の一角、アレセイア・キャピタルのアナリスト、サンジャイ・ジェイン氏はCLSAが最終的に中国に重点を置いた投資銀行に軸足を移し、世界展開の野心を縮小せざるを得ない可能性があると分析している。

Bottom of the Pack

CLSA has a long way to go before it's in the same league as Goldman Sachs

Source: Bloomberg

Note: Profit refers to first-quarter results except for CLSA, which is five months ended May

原題:China Wants Its Own Goldman Sachs. It Has a Big Headache Instead(抜粋)

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