ドイツ銀、日本でECM、M&A、為替、債券業務は継続
谷口崇子、中道敬-
国内での株式業務の人員削減数や撤退時期についてはコメント控える
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米国や欧州、アジアなど主要拠点を通じたグローバル網を維持
経営を再建するため株式事業からの撤退を発表したドイツ銀行は日本国内での投資銀行業務を縮小するものの、企業の合併・買収(M&A)助言、為替、債券業務などは継続する。

ドイツ銀行のロゴ
同社の日本法人、ドイツ証券広報担当の吉次厚子氏が電話取材に答えた。グローバルで発表した株式の営業やトレーディング業務の撤退は日本でも例外なく実施する方針。株式の調査業務からも撤退する。
それに伴い、日本も含めたアジア太平洋地域での株式引き受け(ECM)業務も「影響を受ける」としたが、詳細については言及を控えた。日本での株式業務の人員削減数や完全撤退の時期についてもコメントを控えた。公表資料によると、ドイツ証は2018年3月期に507人の人員を抱えていた。
米国や欧州、アジアなど主要拠点を通じたグローバルネットワークは維持すると述べた。日本で展開する証券以外のグループ会社については、今回発表された再建計画の影響を受けないという。日本ではドイチェ・アセット・マネジメント、ドイツ銀行東京支店、ドイチェ信託が営業している。
ドイツ銀行は7日、株式事業からの撤退のほか、今年第2四半期(4-6月)に28億ユーロ(約3400億円)の純損失を計上することも発表。大規模再編の費用として22年末までに74億ユーロの計上を想定しており、今年と来年の配当を取りやめる方針を明らかにした。
ドイツ証の本間民夫社長は6月7日、ブルームバーグなどの取材に対し、日本の株式トレーディング部門が縮小していることは「全くない」と説明する一方、アジアで一段のコストダウンを行うかどうかはまだ分からないとしていた。吉次氏は日本の株式部門について「6年連続黒字で、2019年もこれまでのところ確実な業績を上げている」と述べていた。
同社は6月初めに元ゴールドマン・サックス・グループのキールターナー・マリアパン氏を日本の株式部門のエレクトロニック・エグゼキューション業務の責任者として採用しており、同部門がアジア太平洋地域での中核事業であることに変わりはないとの方針を示していた。同氏や同時期に社内異動した幹部への影響について、吉次氏はコメントを控えた。
ドイツ銀行グループのオフィスが入っている東京都千代田区内のビルでは8日午前、混乱はなく普段通りの様子だった。
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(更新前の記事では、会社側の要請によりECM事業について1、2段落を訂正しています)