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幻滅招いたポピュリストに審判-7日のギリシャ総選挙、与党敗北か

  • 「希望がやって来る」と訴えたチプラス氏に市民の失望が襲う
  • 世論調査では野党の新民主主義党が優勢、政権交代の公算大

ギリシャ北部のフロリナで靴屋を営むアシキス家。その暮らしぶりは普通の靴屋とは少し異なる。兄弟の一人は店を空けて音楽学校に教えに行き、もう一人は旅行者の案内に出かける。

  最近のギリシャでは、複数の仕事を掛け持ちしてなんとか生計を立てることが珍しくない。チプラス首相は2015年に「希望がやって来る」と訴えて政権を奪取したが、多くのギリシャ人にとっては明日をも知れないその日暮らしが普通になってしまった。実際、アシキス氏は靴屋の店じまいを避けるため親族に借金した。

Greece Heads To The Polls In The General Election

2015年の総選挙で勝利を祝うチプラス氏

  アシキス家が店を構えるフロリナの中心街では、シャッターを降ろした店舗が目立ち、ごみも散らばる。アシキス氏は「チプラス氏が繰り返し唱えたスローガンをみんなが信じた。だが希望などやって来なかった。やって来たのは、大きな失望だった」と嘆き、「アイスクリームを買ってやると言われた子供が、チューインガムすら買ってもらえなかったようなものだ」と続けた。

  こうした幻滅は、7日の総選挙に挑むチプラス首相に厳しい現実となって降りかかる。同首相はギリシャに対する国際的な信認を取り戻したが、国内では旧態依然で名ばかりの新勢力と見られ信頼を失っている。世論調査によると、総選挙で首相率いる与党・急進左派連合(SYRIZA)は敗北し、旧来の2大政党の1つである新民主主義党(ND)が政権に返り咲く見通しだ。

  ドイツのメルケル首相ら欧州連合(EU)首脳にとって、ギリシャを瀬戸際まで追い詰めながらも最終的に責任を示したチプラス首相は、手なずけられたポピュリストだ。ロンドン・スクール・オブ・エコノミクスで現代ギリシャを専門とするケビン・フェザーストーン教授は、チプラス氏について「ある種の現実を認めざるを得なくなっているという状況だ」と語る。「過去の約束はもはや信用されていない。踏ん切りを付けるしかなかったのだろう。異端児は普通の人に変わった」と述べた。

The changing fortunes of Alexis Tsipras at the ballot box

Source: Greek Interior Ministry

Note: The 2019 result is for European Parliament elections.

原題:Europe Tamed a Populist Leader and Now He’s Paying the Price(抜粋)

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