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英海兵隊、イラン原油積載タンカーを拿捕-外交的緊張高まる

更新日時
  • イランは在テヘラン英国大使を外務省に呼び出し説明求めた
  • 大型タンカーは200万バレルの原油をシリアに運んでいた疑いがある

英海兵隊の特殊部隊は4日、イベリア半島南端にある英領ジブラルタルの沖合で、大型タンカーを拿捕(だほ)した。タンカーは欧米の制裁に違反してシリアにイラン産原油を輸送していた疑いがある。

  イランは拿捕が違法だと抗議し、在テヘラン英国大使を外務省に呼び出して説明を求めた。英国やフランス、ドイツがイランに核合意を順守するよう説得に努める中で今回の事件が発生し、緊張が高まった。

  トランプ米政権がイランへの制裁を強化する状況で、今回のタンカー拿捕は、イランが自国産原油の販路を見つけるのが困難な状況を浮き彫りにする。イランの産油量はこの1年間で日量150万バレル減少し、同国経済は大きな痛手を被っている。

  拿捕されたタンカー「グレース1」の原油積載能力は200万バレル。英海兵隊の特殊部隊とジブラルタル警察が現地時間4日朝にヘリコプターと高速艇でグレース1に乗り込んだ。現在はジブラルタル近くに停泊中だという。

  ジブラルタル自治政府のピカード首席閣僚(首相)は「われわれはこの船舶と積み荷を留め置いている。グレース1が欧州連合(EU)のシリア制裁に違反していると信じるに足る合理的根拠をジブラルタル政府に与える情報に基づき今回の行動を取った」と説明した。

  スペイン外務省の報道官は電話インタビューで、スペインが自国の領海と見なす海域で今回の拿捕が行われたため、英国への正式な抗議を検討していると述べた。英国は今回の事件に関してスペインと既に協議を持った。

  ジブラルタルは、グレース1の積み荷がどこから来たかについて言及していないが、ブルームバーグがまとめた船舶運航データによれば、同タンカーは4月中旬にイランのカーグ島の積み出し施設で積み込みが行われた。その数週間後に出航し、スエズ運河を通らずにアフリカの南端を回って地中海へ向かった。ケープタウンを通過したのは6月初めだった。

  イランが英国大使を呼び出して抗議したことは、同国が積み荷の出所を否定するつもりがないことを示している。イラン外務省のムサビ報道官は国営テレビとのインタビューで、英国の行動は「一種の制裁の域外適用」であり、「地域の緊張を高める」恐れがあると述べた。

  英外務省は大使がイラン外務省に呼び出されたことを認めた。メイ首相のスラック報道官はこの日、英国がジブラルタルの行動を全面的に支持すると記者団に発言。「われわれはシリアに対するEU制裁を履行する断固とした行動を歓迎する」とした上で、「これは制裁違反は認められないという明確なメッセージだ」と語った。

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拿捕されたタンカー「グレース1」、そばに英海兵隊の巡視船 7月4日

Photographer: Marcos Moreno/AP Photo
Grace 1

拿捕されたタンカーの航路

原題:U.K. Marines Seize Tanker, Causing Diplomatic Row With Iran (2)(抜粋)

(イラン外務省やジブラルタル自治政府首相のコメントを追加して更新します.)
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