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ラグビー強豪国の通貨が下落、W杯観戦ツアーが割高に

  • ドルにずっと勝っている円が弱小4通貨に負けることない-みずほ銀
  • 訪日観光客は40万人、消費支出効果1000億円超の可能性-組織委員会

ラグビー・ワールドカップ(W杯)が2カ月半後に迫る中、為替市場でラグビー強豪国の通貨の下落が目立っている。逆に開催国・日本の円は上昇傾向を強めており、W杯観戦で訪日する強豪国ファンの懐にとって痛手となりそうだ。

  4-6月期の主要16通貨のパフォーマンスを見ると、下落率トップはラグビー世界ランキング2位のウェールズや4位のイングランドを擁する英国のポンド。このほか、下落率上位には同ランキング1位ニュージーランド(NZ)のNZドル、同6位のオーストラリア・ドルが並ぶ。一方、同11位の日本の円は上昇率2位だった。

豪州対ウェールズ

豪州のラグビーファン。2007年W杯

Photographer: J.S.Ghatora/Bloomberg News

  シドニーで保険サービス業を営むジョン・オブライアン氏(39)は妻と9月中旬から2週間日本に滞在し、9月29日のオーストラリアーウェールズ戦を観戦する予定だ。「正直、ラグビーを観戦しようという人々にとって、金銭的なことはそれほど大きな問題ではないと思う」。オブライアン氏はそう話すが、豪ドルが安くなっているのは事実だとも言い、「当然、今回の旅行が当初の計画よりも少し高くなりそうということは考慮しなければならないだろう」と語る。

  豪ドルとNZドルは4-6月期に対円で4%近く下落。米中貿易摩擦の激化や中央銀行による金融緩和が背景で、豪ドルは過去1年間で約7%値下がりしている。ポンドは欧州連合(EU)離脱を巡る政治の混迷が重しとなり、4-6月期の対円での下落率は5%を超えた。

ラグビーランキングと通貨ランキングは反比例?

Bloomberg

  一方、ラグビー世界ランキング5位の南アフリカ共和国のランドは米国の利下げ期待の高まりもあり、4-6月期は対ドルで上昇率トップの2.9%高だった。ただ、国内景気の悪化や国営電力会社の財務問題、格下げリスクなど懸念材料も多く、ブルームバーグが集計した金融機関の予想中央値に基づく予想スポットリターンによると、7-9月期は6月末比で16通貨中最大の4%の下落が見込まれている。

  豪ドルとNZドルも追加利下げ観測が根強く、9月末にかけ続落する見込み。ポンドは横ばい予想だが、今月下旬に決まる次期英首相の下でEUとの離脱交渉が前進する保証はなく、10月末の期限に向けて合意なき離脱に陥るリスクはむしろ高まっている。

  みずほ銀行の唐鎌大輔チーフマーケットエコノミストは、「豪ドル、NZドル、南ア・ランドは商品市況がいいときはいいが、2019年は世界経済が減速するというコンセンサスがある中で、この3通貨は普通買わない」と指摘。ポンドも合意なき離脱不可避の可能性が高まっており、「ドルにずっと勝っている円が、弱小4通貨に負けることはないだろう」と話す。

  米連邦公開市場委員会(FOMC)は6月の定例会合で、見通しへの不確実性が強まったとし、利下げの準備があることを示唆した。これを受け、米10年債利回りは16年以来初めて2%を割り込み、為替市場では一時5カ月半ぶりとなる1ドル=106円台まで円高・ドル安が進んだ。

ラグビー

イングランド対アイルランド 2008年6カ国対抗戦

Photograper: Alan Crowhurst/Bloomberg News

  アジア初の日本での開催となるラグビーW杯は9月20日に開幕し、11月2日までの44日間にわたり、20チームが「ウェブ・エリス・カップ」を懸けて計48試合を戦う。訪日観光客は40万人に達する可能性があり、その消費支出による直接効果は1057億円に上ると予測されている。日本が優勝候補の南アフリカを破るという「W杯史上最大の番狂わせ」が話題となった前回イングランド大会では、151カ国から推定40.6万人のラグビーファンが英国を訪れ、平均消費額は2400ポンド(約33万円)に上ったという。

ラグビーW杯開幕まで3カ月切る、日本開催の理由-QuickTake

  オーストラリア・コモンウェルス銀行(CBA)のインスティテューショナル・セールス責任者のティム・ケレハー氏(オークランド在勤)は、高額であることを理由にW杯観戦旅行を諦めた。「準決勝戦と決勝戦に行くとなると、宿泊費とチケット代だけのパッケージで1人当たり約1万NZドル(約72万円)もかかる」と言い、「NZドル・円はここ5年間の最安値付近にあるため、日本への観戦旅行は非常に割高になっている」と指摘。NZドルがもっと強ければ、日本にW杯観戦に行くチャンスも「高かったと思う」と話す。 

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