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金委員長の核巡る非妥協的姿勢が浮き彫りに-第3回米朝首脳会談

  • 難しい交渉残る、北朝鮮が同じ立場なら進展ないとの指摘も
  • 金委員長は核兵器廃棄の意向示さず、米により良い提案求めている
SKOREA-US-NKOREA-DIPLOMACY
Photographer: BRENDAN SMIALOWSKI/AFP
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Photographer: BRENDAN SMIALOWSKI/AFP

この数十年間、朝鮮半島を南北に隔てる非武装地帯(DMZ)を訪れた米国の大統領はほぼ決まった行動パターンを取った。双眼鏡で北朝鮮兵士を見て、厳しい表情を浮かべ、挑発しても何も得られないと北朝鮮に警告するというものだ。

  しかしトランプ大統領はツイッターでの会談提案の後、6月30日に北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長とDMZにある板門店で会談し、この前例を破った。トランプ氏は現職の米大統領として初めて北朝鮮側に足を踏み入れた。

  トランプ大統領は会談で「国境を越えたことは非常な名誉だ」とし、金委員長に多くの賛辞を送った上で、ホワイトハウスに招待すると述べた。

  この歴史的な会談の間、トランプ大統領の念頭にあったのは、これまで自分が金委員長に提案してきたことが北朝鮮の核廃棄への意味ある前進につながっていないと批判されてきたことだろう。大統領は会談中、カメラの前に来るたびに、朝鮮半島の緊張緩和への自身の貢献が十分評価されていないと不満を表した。

  トランプ大統領は昨年6月に行われた最初の米朝首脳会談について、「シンガポールでのわれわれの会談前は深い対立があった」と発言。オバマ前大統領は金委員長との会談を目指したが拒否されたなど、オバマ氏をおとしめるコメントをしたが、オバマ政権で大統領副補佐官(国家安全保障担当)を務めたベン・ローズ氏はオバマ氏が金氏との面会を求めたことはなかったとこれを否定した。そして、「外交政策はリアリティーテレビ番組ではなく、リアリティー(現実)そのものだ」と同氏はツイートした。

  今回の米朝首脳会談の成果は核協議再開での合意だった。今年2月のハノイでの会談が決裂後、核協議は中断されていた。ハノイで金委員長は寧辺(ニョンビョン)にある主要な核施設のみの廃棄と引き換えに制裁解除を求めた。

  核協議再開は重要な成果だが、米政府高官は北朝鮮はまだ「非核化」の定義を説明していないと指摘。北朝鮮の交渉担当者について、協議で核兵器を議論する許可を得ていないようだと述べた。

  北朝鮮の核問題を巡る6カ国協議の韓国首席代表を務めた千英宇(チョン・ヨンウ)氏は、次回の核協議は「北朝鮮が同じ立場を取る限り、何の進展もないだろう」とし、北朝鮮は引き続き、核兵器備蓄を着々と増やしていると話した。

  その上で千氏は今回の会談について、「概して真剣な外交というよりは政治ショーの色彩が強い」と指摘し、「核分裂性物質の生産凍結と核能力削減という形にどう転じるかで会談の成果を判断したい」と語った。

  トランプ大統領は対北朝鮮制裁は継続するとしたが、協議のある時点で緩和する可能性も示唆した。首脳会談に一部参加した韓国の文在寅大統領は、金委員長が寧辺の核施設を「誠実かつ完全」に廃棄したら、制裁解除につながる可能性があるとの考えを示した。

  一方、金委員長は核兵器廃棄の意向は示しておらず、年末までの期限内により良い提案をするよう米国に求めている。

  協議妥結に向けて進展がない場合、トランプ大統領が会談を重ねることで、金委員長への世界的な注目度を高めるだけになりかねない。アナリストは大統領の言動について、事実上の核保有国としての北朝鮮の地位を米国が受け入れたとの印象を与えかねないとみている。

原題:Trump’s DMZ Summit Shows How Little Kim Has Conceded on Nukes(抜粋)

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