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Photographer: Akio Kon/Bloomberg

日銀短観:大企業製造業の景況感、2期連続悪化-非製造業は改善

更新日時
  • 大企業・製造業はプラス7、米中貿易摩擦や中国経済減速など懸念
  • 非製造業はプラス23と2ポイント改善-為替想定は109円35銭
The Bank of Japan (BOJ) headquarters stands in Tokyo, Japan, on Wednesday, Sept. 13, 2017. The BOJ\'s next monetary policy meeting is scheduled for Sept. 21. The central bank pushed back in July the projected timing for reaching its 2 percent inflation target for the sixth time as economic growth failed to drive price gains.
Photographer: Akio Kon/Bloomberg

日本銀行が四半期ごとに実施している企業短期経済観測調査(短観)の6月調査で、大企業・製造業の景況感を示す業況判断指数(DI)は3月の前回調査から悪化した。悪化は2期連続。米中貿易摩擦による世界経済への懸念が景況感を下押しした。

キーポイント

  • 景気が「良い」と答えた企業の割合から「悪い」と答えた割合を引いたDIは大企業・製造業がプラス7と前回調査から5ポイント悪化ーブルームバーグ調査の予想はプラス9
  • 非製造業はプラス23と2ポイント改善-予想はプラス20
  • 先行きは製造業がプラス7と横ばい、非製造業はプラス17と悪化を見込む
  • 2019年度の為替想定は1ドル=109円35銭と前回(108円87銭)から円安方向に設定

景況感の動き

エコノミストの見方

三菱UFJモルガン・スタンレー証券景気循環研究所の宮嵜浩シニアエコノミスト:

  • 大企業・製造業DIの落ち込みが鮮明になった一方で、大企業・非製造業DIは底堅かった
  • 大企業・全産業の19年度の設備投資計画は前年度比7.4%増と一見強めだが、18年度の計画が5.9ポイントと大幅に下方修正されたほか、19年度も6月調査では珍しく0.1ポイント下方修正されており、前年度後半にかけて慎重な見方が急激に強まったことがうかがえる
    • 大企業・非製造業の下方修正幅は18年度が7.1ポイント、19年度が1.7ポイントと大きく、非製造業でも慎重な見方が出てきていることも懸念材料だ
  • 7月の日銀の金融政策決定会合は基本的に現状維持を予想している。市場動向次第でフォワードガイダンス修正を含め何らかの対応がある可能性もあるが、短観結果では標準シナリオを変える材料はなかった

みずほ総合研究所の門間一夫エグゼクティブエコノミスト:

  • 6月は不確実性が高まった時期、世界全体のムードに企業の心理も引っ張られた可能性があり、実態より弱い可能性があるという感じはする
  • 全般的には今回の短観がボトムになる可能性という印象を持っている
  • 米中の摩擦だけではなく、欧州も含めて世界全体が減速してきている。日本の製造業もIT関連や半導体の影響も多い。調整も長引いている半導体はファーウェイ問題も影響している可能性があり、米国の姿勢を注意深く見ていくしか今の段階ではない

明治安田生命保険の小玉祐一チーフエコノミスト:

  • 製造業の下落は予想の範囲内だとみているが、業種で見ると自動車であったりと輸出中心のところが落ちている
  • 背景には米中貿易摩擦の悪化や米国によるメキシコへの関税の話が出たことで、特に中国経済、ハイテク分野に影響が見られ、それが日本企業にも影響を及ぼした
  • 20カ国・地域(G20)首脳会議終了後に米中貿易摩擦は落ち着いているので、先行きはこの問題がぶり返さないなら、これ以上のセンチメント悪化はないのではないか
  • 一方、底堅さが見られたのは非製造業。世界的に製造業分野の懸念が高まる中、非製造業にもある程度影響が見られるのではないかと思っていたが意外にしっかりしていた。もっとも、先行きは下落を示しているので慎重に見ていく必要がある

詳細

  • 製造業からは、米中貿易摩擦や中国経済の減速、ITサイクルについて懸念する声が多く聞かれた-日銀担当者
  • 非製造業はオリンピック関連や大型連休に伴う需要、インバウンド消費に言及-日銀
  • 日銀統計局によると、6月調査で大企業・全産業の設備投資計画が下方修正(0.1ポイント)されたのはリーマンショック後の09年以来10年ぶり。前年度計画の下方修正幅(5.9ポイント)は1982年の調査開始以来、最大となった
  • 想定為替レートは前回よりも円安方向。これは恐らく調査期間の前半が円安トレンドだったことが要因-日銀

背景

  • 日銀は6月の金融政策決定会合後の声明で、「海外経済を巡る下振れリスクは大きいとみられ、わが国の企業や家計のマインドに与える影響も注視していく必要がある」と指摘
  • 黒田東彦総裁は6月20日の会見で、物価目標へのモメンタムが損なわれるような状況になれば、「躊躇(ちゅうちょ)なく追加緩和を検討していく」と説明
  • 政府は同月の月例経済報告で「景気は輸出や生産の弱さが続いているものの、緩やかに回復している」との総括判断を維持。先行きは「通商問題の動向が世界経済に与える影響に一層注意するとともに、中国経済の先行き、海外経済の動向と政策に関する不確実性、金融資本市場の変動の影響に留意する必要」とした
  • 自民党の萩生田光一幹事長代行は4月18日、短観などで示される経済情勢次第で10月の消費増税延期もあり得るとの認識を示した
(詳細を追加し、エコノミストコメントを差し替えて更新します.)
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