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今も女性に権利なし、植民地時代から続く香港住宅政策-法廷闘争に

  • 1972年の「小型屋宇政策」は18歳以上の男性「原居村民」対象
  • 男性が申請しても認可が下りるのに何年も待つのが一般的

不動産市場が厳しい香港では、多くの住民にとって住宅購入は不可能だ。ただ英国が香港を植民地とした当時からずっと香港に住んでいる家族の出身であれば、割安に持ち家を手にする権利がある。ただし女性はこの権利を申請できない。
 
  香港が英国の植民地だった1972年に導入されたいわゆる「小型屋宇政策」は、18歳以上の男性「原居村民」に政府への支払いをせずに住宅を保有地で建設する申請を認めている。一般的には100万香港ドル(約1380万円)を超える課金負担があるが、これが不要になる。この古い政策が最近、女性と原居村民以外の香港住民を差別しているとして法廷で争われた。

Hong Kong Villages

レオン・チュエンフォンさん

撮影:Paul Yeung / Bloomberg

  例えば1968年の米公正住宅法は人種や性別、宗教、出身国に基づく差別から守ることを目指し制定されているが、香港のこの政策は対照的だ。小型屋宇政策が導入された72年当時、農村地帯の新界地区は仮設構造の建物がほとんどで、当局は住宅・衛生基準の向上を模索。香港のシンクタンク、シビック・エクスチェンジによれば、この政策は中国本土に近い新界にあった村々の指導者から、植民地政府への支持を取り付ける狙いもあった。

Hong Kong Villages

新界の大埔区

撮影:Paul Yeung / Bloomberg

  こうした原居村民の規模は正式には算出されていない。非政府系の政策団体、団結香港基金によれば、推計70万人前後と、香港全人口の9%相当。現在は3380ヘクタールに及ぶ指定地域に642の村があり、その60%が私有地だ。

  この住宅政策は、新界地区の原居村民が持つ伝統的な権利の保護をうたう香港基本法の条項により保護されている。裁判所判事は今年4月、同政策について、香港が1997年に中国へ返還される以前の政策であり、差別的な特徴を踏まえ制定されたと指摘。そのため、差別を理由にこの政策について争うのは適切ではないとの判断を示した。

Hong Kong Villages

新界の元朗区

写真家:Paul Yeung / Bloomberg

  新界の村で生涯を過ごしてきたレオン・チュエンフォンさん(52)は「本当に不公平だ」と言う。「両親は常に息子を甘やかし、男の子のために何でもとっておく。女性がどんなに有能でも関係ない。今だけの話ではない。昔も同じだった」と話す。
  
  新界の元朗区に住む28歳の女性カミー・タンさんも諦め気味だ。ダンスインストラクターをしているタンさんは、この女性差別的な政策にそれほど強い抵抗感はない。「多分、生まれてからずっと知っていたため」だと語るが、別の理由もある。実際に住宅を建てることのできる土地が不足しており、申請しても認可が下りるのに何年も待つのが一般的だからだ。

  原居村民の特権全廃を目指す原告は、控訴すると表明している。

Kammy Tang

カミー・タンさん

写真家:Paul Yeung / Bloomberg

原題:A Colonial Quirk Gives Some Hong Kong Men Houses on the Cheap(抜粋)

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