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Photographer: Bloomberg/Bloomberg

より良い金融政策求めて十分に研究しておく必要-若田部日銀副総裁

更新日時
  • モメンタム棄損することが分かるのであればなく躊躇なく追加緩和
  • 現状ではリバーサルレートに至っていない、論文だけで政策変更ない
Pedestrians walk past the Bank of Japan (BOJ) headquarters in Tokyo, Japan, on Wednesday, Sept. 13, 2017. The BOJ\'s next monetary policy meeting is scheduled for Sept. 21. The central bank pushed back in July the projected timing for reaching its 2 percent inflation target for the sixth time as economic growth failed to drive price gains.
Photographer: Bloomberg/Bloomberg

日本銀行の若田部昌澄副総裁は27日、青森市内での記者会見で、現状のままだと2%物価目標達成が困難であることに合意できるなら、先んじて政策手段を取ることはあり得るとの考えを示した。

  若田部副総裁は「足元の動きを見ていくことも非常に重要だが、それが中長期的な予想インフレ率にどういう影響を及ぼすかきちんと見ていかないといけない」と指摘。「このままだと2%物価目標達成がなかなか難しいことに合意できるなら、中央銀行としては先んじて政策手段を取ることはあり得る。仮に今起きていることが将来、物価目標を達成できないことに確信が持てるなら行動する」と述べた。

  日銀が掲げる年後半の景気回復シナリオについては「後ずれするリスクは相応にある」と指摘。「物価上昇のモメンタムが棄損することが分かるのであれば、躊躇(ちゅうちょ)なく追加緩和をする」と語った。

  金利を下げ過ぎると金融機関の仲介機能を損ない、むしろ引き締め効果が強まるとするリバーサルレートについては、「仮にリバーサルレートみたいなことが理論的に考えられるとしても、現状でそこに至っているという判断は私としてはしていない」と指摘。「この論文だけをもって政策が変わるということは全然ない」と述べた。

Federal Reserve Jackson Hole Economic Symposium

若田部副総裁

Photographer: David Paul Morris/Bloomberg

  日銀は21日、5月に開いた国際コンファランスでプリンストン大学のブルナーマイヤー教授が提出した英文の共著論文「リバーサルレート」を公表した。黒田東彦総裁は2017年11月にスイス・チューリッヒでの講演で同教授の論文を紹介。「金利を下げ過ぎると、預貸金利ざやの縮小を通じて銀行部門の自己資本制約がタイト化し、金融仲介機能が阻害されるため、かえって金融緩和の効果が反転(reverse)する可能性があるという考え方」と説明した。

  日銀は20日の金融政策決定会合で政策運営方針を据え置いたが、声明文に「海外経済を巡る下振れリスクは大きいとみられ、わが国の企業や家計のマインドに与える影響も注視していく必要がある」との文言を加えた。米連邦準備制度理事会(FRB)が7月に利下げするとの観測見方が強く、日銀も同月、政策金利のフォワードガイダンス(指針)を延長するなど追加緩和に踏み切るとの見方が強まっている。

より良い金融政策

  若田部副総裁は会見に先立つ講演で、米国などでは中長期的に物価の安定を実現していく上での金融政策の在り方が議論されており、「物価上昇率目標の引き上げ、平均物価上昇率目標、物価水準目標、物価上昇率目標レンジ、名目国内総生産目標の導入などさまざまな提案がなされている」と指摘した。

  現時点では、2%の物価目標の実現に向けて金融緩和を進めていくという「現在の枠組みを維持していくことが適切である」としながらも、「より良い金融政策を求めて、日銀も十分に研究しておく必要がある」と述べた。

  若田部副総裁は景気について「基調として緩やかに拡大していく」としながらも、「景気のメインシナリオを巡る下振れリスクには一段の注意が必要になっている」と指摘。中でも、米中通商摩擦が長期化すれば、「関税引き上げの直接的な影響に加え、 企業の投資マインドの悪化や金融市場におけるセンチメントの慎重化という経路を通じても世界経済への下押し圧力が強まる可能性がある」と述べた。

  仮に海外経済の減速が長期化すれば「内需への下押し圧力も徐々に強まっていく」と言明。10月に予定されている消費税率の引き上げについても「依然として内需ひいては経済・物価に下押し圧力をもたらす可能性がある」と語った。

(会見での発言を追加して見出しと全文を差し替えて更新します.)
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