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骨太方針、景気悪化なら「マクロ経済政策」発動-日銀期待盛り込む

  • 海外リスク顕在の場合「機動的なマクロ経済政策を躊躇なく実行」
  • 70歳雇用、年金不安解消に寄与「プラス評価」ー第一生命

政府は21日、今年の「経済財政運営と改革の基本方針(骨太方針)」と「成長戦略実行計画」を閣議決定した。米中貿易摩擦の激化などで世界経済が悪化した場合には、財政政策と金融政策を両輪とする「マクロ経済対策」を直ちに発動する方針を示した。金融政策を盛り込んだことで日銀への期待がより高まった格好だ。

  今年の骨太方針は、10月の消費増税や2025年度のプライマリーバランス(PB)黒字化目標を維持する一方、増税後の経済状況を踏まえ、来年度予算でも適切な規模の臨時・特別の措置を講ずると明記。さらに「海外発の下方リスクに十分目配りし、経済・金融への影響を迅速に把握するとともに、リスクが顕在化する場合には、機動的なマクロ経済政策を躊躇(ちゅうちょ)なく実行する」とも記した。

  第一生命経済研究所の星野卓也副主任エコノミストは、政府は低金利環境下で国債の利払い費が抑えられ、財政収支や債務残高の対国内総生産(GDP)比の伸びは抑制されているとし、「財政再建という意味で、金融政策が果たす役割は大きい」と指摘。また今回の骨太方針で使われた「マクロ経済政策」という言葉には、従来の「財政政策」だけではなく「金融政策」も含まれていることから、「財政と金融の協調を求めているようにも見える」と述べた。

  日銀の黒田東彦総裁は20日の金融政策決定会合後の会見で、現在の金融政策は「財政ファイナンスを助けるという趣旨ではない」とした上で、「国債増発によって長期金利が上がるということは防止されるという意味で、結果的に財政金融政策の協調とか、ポリシーミックスになり得る」と述べた。追加緩和の手段としては、長短金利目標の引き下げ、資産買い入れ拡大、マネタリーベースの拡大ペース加速などが考えられ、状況に応じて適切に組み合わせるという。

  今年の骨太方針・成長戦略の両方で目玉となったのは、人生100年時代に合わせて70歳まで就労機会を確保する施策だ。企業に対して定年制度の見直しや再就職・起業支援、フリーランスや社会貢献活動への資金提供など7つの選択肢を提供する努力規定を設ける法改正を2020年の通常国会で行う方針だ。星野氏は「今の年金不安を解消するためには、長く働く経済社会を作るのが一番大事」とし、それに向けて「一つ踏み出したことはプラスに評価できる」と指摘した。

  一方、野村証券の桑原真樹シニアエコノミストは、もし同一企業による雇用延長だけが強調されてしまうと「流動性の観点からむしろ逆効果」と指摘。より成長に寄与するという観点からみると、新卒一括ではなく中途採用を伸ばしていく採用慣行への変更が成功すれば、「日本経済の労働市場の流動性が増して、生産性を引き上げるとっかかりになる」とし、中途・経験者採用の拡大促進策に注目しているという。

骨太方針のポイント
  • 2020年ごろの名目GDP600兆円と25年度の財政健全化目標達成
  • 潜在成長率の引き上げによる成長力強化ーSociety5.0実現の加速
  • 人づくり革命や働き方改革に加え、所得向上策を推進
    • 就職氷河期世代の3年間集中支援、正規雇用30万人増やす
    • 最低賃金の全国加重平均「より早期」に1000円目指す
  • 全世代社会保障への改革ー高齢者雇用促進や中途・経験者採用促進
成長戦略のポイント(20年通常国会に提出を目指す法案)
  • 企業に70歳までの雇用確保の努力規定を設ける法改正
  • 大企業に中途・経験者採用比率の情報公開を求める法案
  • 決済サービス事業の弊害となっている業態別規制の見直し
  • デジタル市場における取引慣行の透明性・公正性確保のため「デジタル・プラットフォーマー取引透明化法(仮称)」
  • 匿名加工情報の利活用促進に向けた個人情報保護法改正
  • 交通空白地帯で自治体が担っている「自家用有償旅客運送」の運行管理をタクシーなど既存交通事業者に委託可能とする法改正
  • 地域銀行や乗り合いバスによる経営統合や共同経営を独占禁止法の適用除外として認める10年間の特例法

  

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