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米シティと慶応大がタッグ、ESG分野で協定締結-人材育成も

更新日時
  • シティは将来的に環境債引き受けやESG評価基準の導入など狙う
  • ESG関連の付加価値が織り込まれれば日本株上昇余地ありー専門家

米シティグループは21日、環境や社会、企業統治の視点を投資先選定に取り入れる「ESG投資」分野などで共同研究を始めるため、慶応義塾大学と連携協力協定を締結したと発表した。株価が割安に放置されている日本市場で企業にESGへの取り組みの重要性を考える材料を提供し、中長期的な市場活性化や関連ビジネスの取り込みを目指す。

Citigroup Agrees $1.13 Billion Settlement Over Mortgage Bonds

シティのロゴ(ロンドン)

Photographer: Chris Ratcliffe/Bloomberg

  欧米の市場を熟知する外資系金融機関と持続可能な開発目標(SDGs)の先進的研究で知られる大学が協力する。シティの日本拠点であるシティグループ証券と慶大湘南藤沢キャンパス(SFC)が合意した。シティが日本の大学と協定を結ぶのは初めて。

  日本で持続可能な社会への理解を促進する目的で開設された慶大の既存研究室を核に、SDGsやESG分野でグローバルに活動してきたシティが知見を提供する。具体的な活動内容としては、ESG投資の深化に関する共同研究や人材育成などを検討している。

  シティ広報担当の清水理沙氏によると、シティとしては研究成果を顧客企業と共有し、ESGへの取り組みを促すことで、将来的に環境関連に使途を限定した債券「グリーンボンド」の引き受けをはじめ、ESG評価基準の導入など関連ビジネスや助言業務の需要を取り込む狙いがあるという。

  製薬会社エーザイで最高財務責任者(CFO)を務める柳良平・早稲田大学客員教授は「ESGは慈善事業だという誤解もあるが、肝は社会貢献が収益増につながる道筋をきちんと投資家に説明し、納得してもらうところにある」と指摘する。

  ブルームバーグ・データによると、株価が割安か割高かの指標となる株価純資産倍率(PBR)で、東証株価指数(TOPIX)は1.1倍と米国のS&P500種株価指数(3.4倍)や欧州の主要株価指数であるSTOXX600(1.8倍)と比べて割安に取引されている。

日本の株式市場に「見えないディスカウント」

欧米市場と比べて低いPBR

出所:ブルームバーグ

備考:指数はS&P500種株価指数、STOXX600、東証株価指数

  柳氏によると日本企業にはESGと関連の深い知的・人的財産など財務以外の価値がどう収益に貢献しているかを説明する重要性があまり浸透していないという。そうした付加価値が株価に織り込まれれば日本市場全体としてPBRが2倍程度に上昇する可能性があるとの見方を示した。 

(シティの発表を受けて記事を更新します.)
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