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中古住宅再販のカチタス社長、「空き家」で目指す日本一

  • 20代で都議選出馬の新井氏、応援団でのガッツ買われて白羽の矢
  • 長期目標は年5万件販売、株価は年初来60%超上昇

2017年12月上場のカチタス。中古住宅販売の事業拡大を背景に、時価総額は上場時に比べ約2.6倍となった。同社の成長を指揮したのが、経営者としての経験がなかった新井健資氏(50)だ。都議会議員選挙での落選を経て、現在「空き家」ビジネスで日本一を目指す。

  裁判所が関与する競売で落札した中古住宅を改築して販売するカチタスの前身「やすらぎ」を、投資会社のアドバンテッジパートナーズが12年3月に買収し、再建をスタート。当時は競売件数が減り物件の仕入れは先細っていた。同年6月に社長に就任した新井氏が目を付けたのは増え続ける空き家だった。

Katitas Corp. CEO Katsutoshi Arai Interview

カチタス・新井社長

Photographer: Kentaro Takahashi/Bloomberg

  カチタスは駐車場付き物件に注力する戦略が奏功して業績は拡大、やすらぎ時代に約300億円だった売上高は、19年3月期に814億円、年間の販売件数は5352件に成長した。

  社長候補を探していたアドバンテッジの喜多慎一郎氏は、コロンビア大学ビジネススクールで経営学修士(MBA)を取得した後にリクルートホールディングスで不動産部門の新規事業立ち上げの経験があった新井氏に白羽の矢を立てた。大学時代から知り合いで、「大学の応援団でガッツがある人」との印象があった。

  もともと新井社長の学生時代の目標は政治家だった。97年には20代で都議選に出馬、結果は一歩及ばなかったが縁あって古川元久・衆議院議員の秘書になった。その後、経営コンサルティングのベイン・アンド・カンパニーに移り、課題の設定や分析、実行という経営戦略の基礎を学んだ。新井社長は空き家再生ビジネスの拡大に東奔西走するいま、政治への未練はなく、選挙の「出馬はない」と言い切る。

  もっとも同社の事業環境は明るさばかりではない。SMBC日興証券の田沢淳一シニアアナリストは「都心に人が集中し、住宅を売る対象の地方の若年層が減る人口動態の変化」がリスクになると話す。6月20日の株価は4185円と昨年末比で60%超の上昇。「中長期の高成長はある程度織り込まれ割安感は後退した」(田沢氏)。

  空き家ビジネスについて10年以内に年間1万件の販売目標を掲げる新井社長は、社員数約700人に対して今春約120人を採用し営業拡大を仕掛ける。「年間約5万件、日本で一番住宅を売る会社になること」だという長期ビジョンを実現するためには、業容拡大に向けて優秀な人材を確保し営業基盤を築けるかが課題だ。

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