コンテンツにスキップする
Photographer: Toru Hanai/Bloomberg

5月の貿易収支は4カ月ぶり赤字-輸出は6カ月連続マイナス

更新日時
  • 輸出は7.8%減、中国向けは9.7%減と3カ月連続の減少
  • 4カ月ぶりの赤字は輸出の弱さに尽きる-大和総研の廣野氏
Shipping containers sit stacked at a terminal at dusk in Tokyo, Japan, on Monday, April 15, 2019. Japans chief negotiator dodged questions about any potential auto export penalties or currency clause as he emerged from the first day of long-awaited trade talks with the U.S. in Washington, D.C., U.S., on April 15.
Photographer: Toru Hanai/Bloomberg

輸出から輸入を差し引いた日本の貿易収支は5月速報で9671億円の赤字と、4カ月ぶりの赤字となった。半導体製造装置や自動車部品などを中心に輸出が振るわなかった。財務省が19日発表した。

キーポイント

  • 5月の貿易収支は9671億円の赤字(ブルームバーグ調査の予想中央値は1兆2000億円の赤字)、赤字額は前年比67.5%増-前月は568億円の黒字
  • 輸出は前年比7.8%減(予想は8.2%減)の5兆8351億円と6カ月連続減少-前月は2.4%減
    • 輸出数量指数は9.0%減と7カ月連続の減少
  • 輸入は1.5%減(予想は1.0%増)の6兆8022億円と3カ月ぶりの減少-前月6.5%増  

輸出入の推移

エコノミストの見方

大和総研経済調査部の廣野洋太研究員:

  • 4カ月ぶりの赤字は輸出の弱さに尽きる。10連休の影響を4-5月でならしてみても弱いので、米中貿易摩擦や世界経済減速の影響が出たのだろう
  • この影響は当面継続するとみている。米中摩擦では、中国は6月1日に引き上げた報復関税措置の影響が出てくる。米国はほぼ全ての対中輸入品に関税をかける第4弾がかかってくると、今回よりも影響が当然大きくなる
  • 大阪サミットの米中首脳会談では、トランプ大統領が第3弾の追加関税の理由とした構造問題の解決がそんなに簡単には進まない
  • 経済対策についてはやや出やすい状況、追加緩和はできる余地が限られてきている

農林中金総合研究所の南武志主席研究員:

  • 大型連休があって例年より弱いのは仕方がないとは思うが、それにしても下振れている。じわじわと世界経済の拡大テンポが鈍化しているのが効いてきていて、それが日本にも波及している
  • 米中貿易摩擦を巡っては、米国自体はあまり影響を受けておらず、まだまだしっかりしているが、中国向け輸出が落ちてきている。アジア全体で12%の輸出減と、中国の減少がやはり近隣アジアの貿易縮小につながっており、これは続くと思う
  • 今月末の米中首脳会談でも抜本的な緊張緩和には至らないと思う

みずほ証券の宮川憲央シニアエコノミスト:

  • 米中貿易摩擦の緊張が特に中国企業のマインドや投資を冷やす中、輸出の弱さは今後も続く可能性が高い。今年後半に景気が回復の兆しをみせるというシナリオをまだ捨てる必要はないが、不確実性は高まっている
  • 輸出の先行きを見通す上で今月末の米中首脳会談の結果が重要になる。決裂というよりは交渉を続ける意思を双方がみせ歩み寄り、最悪のケースは回避されるのではないか
  • 日銀の今後の政策は米金融当局が何をするかに大きく依存する。輸出がなかなか回復せず、景気も安定しない中で、日銀の追加緩和の臆測はしばらく続くのではないか

詳細

  • 対世界の貿易収支は3カ月ぶり赤字、欧州や中国含むアジア向けの輸出が減少-財務省担当者
    • 韓国向け半導体製造装置、中国向け自動車部品の輸出減が寄与
    • サプライチェーンはグローバルに複雑に絡み合っており、米中貿易摩擦の影響を特定するのは難しい
  • 対欧州連合(EU)は過去最大の貿易赤字、航空機輸入の特殊要因で過去最大の輸入額-財務省
  • 対中貿易収支は14カ月連続の赤字、半導体製造装置や自動車部品などの輸出が減少-財務省
  • 新潟・山形県での地震について、輸出にどのような影響を与えるか注視ー財務省

5月に貿易統計の概要はこちらをご覧下さい

5月に貿易統計の概要(地域別詳細)はこちらをご覧下さい

背景

  • 政府は6月の月例経済報告で、「景気は輸出や生産の弱さが続いているものの、緩やかに回復している」との総括判断を据え置いた
    • 内閣府は4月の景気動向指数で、基調判断を景気後退の可能性が高いことを示す「悪化」を維持
  • 4月の国際収支では、中国向け半導体関連の輸出が落ち込む中、貿易収支が3カ月ぶりに赤字に転じた
  • 対米貿易摩擦が激化する中国の5月の貿易統計では、輸出が市場予想に反して持ち直す一方、輸入は予想を上回る落ち込みだった
(詳細を追加し、エコノミストコメントを差し替えて更新します.)
    最新の情報は、ブルームバーグ端末にて提供中 LEARN MORE