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【コラム】今週のFOMCの行動とその理由-エラリアン

  • FOMCは19日に一層明確な利下げの道筋示す可能性
  • 7月に0.25ポイント利下げか、0.5ポイント1回で終わる公算も

今週の米連邦公開市場委員会(FOMC)は、米金融政策のさらなるハト派シフトを示唆する可能性が高い。ただ、市場が既に織り込んでいるような、そしてウォール街のストラテジストが予想を強めているような目立つ動きではないかもしれない。米金融当局はそのプロセスで、政策の扱いにくい矛盾と、他の主要中央銀行も直面する本質的な不確実性を強調するだろう。

  FOMCが既に、以前よりも明確な利下げへの道筋を19日に示す見通しとなっている中で、その幅と時期、そして理由が問題となっている。

  米経済に一段と脆弱(ぜいじゃく)な兆しが見えるものの、成長のダイナミクスが全て弱まったわけではない。例えば、経済活動やセンチメントのデータは引き続き強弱まちまちで、力強い数値も一部残る。直近の雇用統計は予想コンセンサスに届かなかったが、3カ月平均でみた雇用創出や実質賃金の伸びは、本質的に雑音の多いデータとしてはなお堅調だ。

  一方でインフレは米金融当局の目標とする2%を引き続き達成しておらず、さらに鈍化している。一層脆弱(ぜいじゃく)な成長とインフレ目標未達への懸念は、世界的な情勢で増幅されている。

  貿易戦争の先行き不透明感に直面し、国際貿易は引き続き軟化している。このため欧州の政治家は切望される成長政策を前進させることがますますできなくなっている上、中国にとってもともと困難な経済と金融の移行を複雑にしている。こうした状況は高止まりする資産価格とより緩慢な経済ファンダメンタルズを中銀が集団で維持してきたくさびの堅固さを脅かす。

  これらを全て加味すると、「保険的な利下げ」パッケージ説が容易に作られる。つまり0.25ポイントの利下げをフォワードガイダンスに盛り込み、時間をかけてさらに利下げする道筋と利下げの着地点を示唆するとともに、政策の柔軟性と反応性を強調する内容だ。だが、市場は既に非常に積極的な政策対応を織り込み、今年だけでも最大3-4回の利下げを見込むだけに、これは米金融当局のジレンマの一つでもある。

  今週のFOMCで最も重要なポイントは、今年初めの政策の劇的なUターンに補足する形で、利下げ意欲を当局が示すことだろう。最初の利下げが今週実施される可能性は低いが、7月30ー31日に予定される次回会合では、終わりを定めない利下げサイクルの一環として0.25ポイントの利下げに踏み切る公算が大きい。「1回だけで終わりにする」アプローチで0.5ポイント利下げする可能性も比較的少ないがある。

  これらの見通しに共通する要因は、国内経済の異常に不安定な状況と世界経済ではその程度がさらに大きいことだ。米金融当局はそうした現実を踏まえ、極めてハト派的な措置の直接的なシグナルを迫る市場を失望させるリスクが多少あるとしても、できる限り多くの選択肢を保持したい考えだろう。

  資産価格をさらに高め金融のボラティリティーを抑制するため市場が望む措置と、経済から現段階で正当化される措置との矛盾は、米金融当局が意思伝達を再び誤るリスクを示しており、バランスを取ることは容易ではない。

(モハメド・エラリアン氏はブルームバーグ・オピニオンのコラムニストです。このコラムの内容は編集部やブルームバーグ・エル・ピー、オーナーらの意見を必ずしも反映するものではありません)

原題:What the Fed Will Do This Week, and Why: Mohamed A. El-Erian (抜粋)

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