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タンカー攻撃、戦争のリスクは低く原油相場の上昇は一時的-野村証券

  • 船舶の攻撃は「内向きの理由によるもの」-野村証
  • 海運各社は当該海域周辺の運航禁止や全速力での航行を指示

野村証券は14日付のリポートで、ホルムズ海峡周辺でのタンカー2隻の攻撃を受けた影響による原油相場の上昇は一時的で、この問題が戦争に発展するリスクは低いとの見方を示した。

Crude oil tanker on fire in Gulf of Oman

黒煙を上げるタンカー「Front Altair」(13日、オマーン湾)

Photographer:IRIB News/EPA-EFE

  同社の吉本元シニアエコノミストと大越龍文シニアエコノミストはこのリポートで、同国のザリフ外相を中心に米国との対話を模索する動きがある一方で、革命防衛隊を中心とした対外強硬派は対話路線に否定的な見解を持っており、今回の事件は「イラン内部での路線対立を反映したもの」と指摘。

  対話路線に否定的なイラン国内の勢力が「安倍首相がロウハニ大統領、ハメネイ師と会談を行っているタイミングを見計らって軍事攻撃を行ったことが考えられる」との見解を示した。外国船舶の攻撃は「あくまでも内向きの理由によるもの」で、「断続的なものにとどまり、ペルシャ湾の航行を完全に阻害するものにはならないだろう」とし、戦争に発展するリスクは低いと予想した。

  ポンペオ米国務長官は13日、ワシントンで記者団に対し、イランは以前からホルムズ海峡の原油輸送を阻害すると示唆していたと指摘し、イランに責任があるとの判断を明らかにしていた。
  
  ニューヨーク商業取引所(NYMEX)のウェスト・テキサス・インターミディエート(WTI)原油先物7月限は13日、一時前日比2.3%高の53.45ドルまで上昇した。野村証は、今後も散発的にタンカー攻撃が行われる可能性はあり、それに連れて原油価格も一時的に上昇するものの、世界の原油需給に供給過剰感がある中では「攻撃後の上昇分は帳消しとなろう」と予想する。
  
  地政学的なリスクのあるホルムズ海峡は、サウジアラビアなどペルシャ湾岸諸国からの原油・天然ガスの海上輸送の要衝として知られている。経済産業省によると日本が輸入する原油の約8割、天然ガスの約3割が同海峡を経由する。

各国閣僚と協議

  世耕弘成経産相は14日午前の会見で、攻撃により日本のエネルギー安定供給に問題が生じることはないと発言。エネルギー関連企業などへの注意喚起を行ったほか、同省職員に対して関係省庁と情報収集に取り組むよう指示したと述べた。今週末に開催予定の20カ国・地域(G20)エネルギー・環境関係閣僚会合では、今回の攻撃を含めた安全保障上の脅威や対策について「各国大臣と議論を深めたい」と話した。

  欧州とアジア間の海上輸送の重要な海域であるソマリア沖アデン湾で海賊被害が相次いだことから、国連安全保障理事会は2008年、各国に海賊対策として軍艦や軍用機の配備などを促すことを決議。日本政府も09年から自衛隊の護衛艦などを派遣し、民間の船舶の護衛活動を行っている。

   世耕氏は、現時点では事実関係の確認を優先させているとし、同様の対応の検討についてはコメントを控えた。日本郵船商船三井など海運各社が加盟する日本船主協会の広報担当は、ホルムズ海峡周辺での攻撃の原因が明確になっていないことから、護衛を政府に要請することは難しいとの認識を示した。同協会としては攻撃への具体的な対策は打ち出しておらず、現時点では各社の判断に任せているという。

  商船三井は攻撃が発生した場所から12マイル(約20キロメートル)以内の船舶の航行を禁止している。同社の広報担当者が明らかにした。日本郵船の広報担当によると、ホルムズ海峡は全速力で通過するよう指示しているという。

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