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MRJの名前捨て、追い風が吹く小型機市場で勝負-三菱重工

  • 「スペースジェット」に変更、パリショーで70席クラスのコンセプト
  • 広い乗客スペース確保と航空会社の負担コスト減を両立-開発責任者

三菱重工業傘下の三菱航空機は17日に開幕するパリ航空ショーで、小型機コンセプト「スペースジェット100」(M100)を出展する。度重なる開発延期を経て型式証明取得に向けた飛行試験の段階までこぎつけた同社は「MRJ」の名称を廃止し、客室空間(スペース)の広さと低コストを武器に拡大が見込まれる座席数100席以下の市場で攻勢をかける。

  三菱航空機のアレックス・ベラミー最高開発責任者(CDO)が名古屋市内での7日のインタビューで明らかにした。M100は座席数76席でファーストクラスとプレミアムエコノミー、エコノミーの3クラスを備える。客室空間を拡大するための工夫をこらし座席幅は18.5インチ(約47センチ)と座席数100席未満の「リージョナルジェット」機としては広く、キャリーバッグを機内に持ち込んで頭上の収納スペースに置けるようにした。

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「スペースジェット」(CG)

Source: Mitsubishi Aircraft Corporation

  コスト競争力にも自信を持っているという。軽量素材やプラット・アンド・ホイットニー製のギヤードターボファンエンジンの採用などで燃費を向上させたほか、定期メンテナンスが必要な期間を延長するなどして既存の同サイズの航空機と比べて運用にかかるトータルコストを約10%減らせるという。

  同社は90席クラスの「MRJ90」の開発を進め、3月に飛行試験を開始。20年半ばの納入開始を目指している。M100はこれまで「MRJ70」として検討されていた70席クラスの機体。顧客との対話で広い客室空間への要望が高かったことから、昨年秋ごろからコンセプトの絞り込みを進めてきた。M100の納入開始のめどは23年前半としている。

  三菱重工は08年に国産初のジェット旅客機となるMRJ(三菱リージョナルジェット)開発に着手した。当初は2013年の完成・納入開始を目指していたが、延期を繰り返した。17年には電気配線全体の設計を変更。翌18年には同社が三菱航空機に対する1700億円の増資引き受けと500億円の債権放棄を含む支援を発表し、開発を続けていた。

三菱重:ボンバルディアのリージョナルジェット事業の取引で交渉 (1)

とてもいい立ち位置  

  ベラミー氏によると、リージョナルジェットの市場は代替を含めて今後20年間で5137機分の需要を見込むなど堅調に推移すると予測。その一方で、エアバスとボーイングにそれぞれ買収されたカナダのボンバルディアやブラジルのエンブラエルといった競合他社は他の分野に注力する動きがあるとし、三菱航空機としては「とてもいい立ち位置にある」と話す。

  ベラミー氏は旅客機の座席は年々狭くなり、乗客の快適さは犠牲にされてきたと指摘。米国の短距離の国内線などでの利用を念頭に置くM100では機内の無線インターネット通信、映画や音楽などのサービス、ムード照明などの設備の導入も検討し、快適性と低コストを両立できると話した。

  MRJは開発段階での名称であり、機体の性能に比べて「リージョナル(地域の)」という言葉が限定的なイメージを与えることなどから変更することにしたという。型式証明取得を目指しているMRJ90はM90と名前を変え、試験機のうちの1機をパリショーに持ち込んで披露する計画。将来的には100席弱の少し大きい機体もラインアップに加える構想もあるといい、「三菱スペースジェット」ファミリーとして展開したいという。

  機体生産を名古屋で行う計画はM100を含めて変わらないとする一方、将来的には米国など需要の大きい場所でも行う可能性はあると話した。

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