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Photographer: Keith Bedford/Bloomberg

円高加速に現実味、対外フロー減少でー米金利先安観測

  • 年末に最大1ドル=100円とみずほ銀は予想
  • JPモルガンはFRB年内2回の利下げと見込む
Japanese 10,000 yen banknotes are arranged for a photograph in Tokyo, Japan on Sunday April 14, 2019. U.S. Treasury Secretary Steven Mnuchin said he wanted a currency clause in a trade deal with Japan to prevent deliberate manipulation of the yen to bolster exports, Japanese public broadcaster NHK said.
Photographer: Keith Bedford/Bloomberg

米中を中心とした貿易戦争が激化する中でも底堅さを維持してきたドル・円相場に、円高が進みやすくなるとの見方が出てきた。世界景気の先行き不透明感が強まり、米国の利下げ観測が広がる中、対外証券投資など日本からの円売りフローが弱まる可能性があるためだ。

  「これだけ金利先安観が出ているのに、わざわざ対外証券投資をしようという投資家は増えてこないし、減ってくると思う」。みずほ銀行の唐鎌大輔チーフマーケットエコノミストは、「対外証券投資が出ているからドル・円は底堅いという説もあったはずだが、そこが消えてくるということはドル・円を支える材料が一つなくなってくるということだ」と話す。

米10年金利は2%に接近

  5月に入り米中貿易戦争が激化する中でもドル・円は1ドル=110円を中心としたレンジで底堅く推移していた。しかし、月末にかけては円高傾向が強まり、今月5日には107円82銭と約5カ月ぶり円高水準を付けた。昨年秋に3%台だった米10年債利回りは足元2.1%程度と2017年以来の水準まで低下している。

  唐鎌氏は、米10年債利回りが2%を割れると、米連邦準備制度理事会(FRB)の利下げがさらに現実味を帯びると指摘。ここ5年間のドル高の「大前提が今変わろうとしている」とし、年末に向け最大100円まで円高が進むと予想する。

  JPモルガンは、米国金利見通しの大幅下方修正に伴い、ドル・円相場の予想を引き下げ、第4四半期を従来の112円から107円に変更した。FRBは年内2回利下げを実施すると予想。米10年利回りは年末に1.75%まで低下するとみている。

  JPモルガン・チェース銀行の佐々木融市場調査本部長は、トランプ大統領の強硬姿勢による景況感悪化や米国の利下げ見通しにより、 日本からの対外投資フローが出にくくなっていることが「円をセーフヘイブン(安全な逃避先)的な動きに戻している」と指摘。今後も国内での運用難から投資家が外に投資しなければならないという状況は変わらないものの、「対外投資フローがあるからドル・円の下は大丈夫とまではもう言えない」と語る。
  
  対外証券投資と並ぶ日本からの円安フローとして近年存在感を強めてきた対外直接投資にも慎重な見方が出ている。
  三菱UFJ銀行グローバルマーケットリサーチの内田稔チーフアナリストは、世界経済の減速やトランプ関税を巡る不透明感、手頃なM&A(企業の合併・買収)案件の減少により、対外直投はしばらく停滞すると予想。米中貿易問題の長期化や英国の欧州連合(EU)離脱、日米通商協議の本格化と今後もリスクオフ要因が残る中で、対外証券投資も「円安ドライバーにはならない」とみている。

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