コンテンツにスキップする

宮崎生まれのスケボー少女、東京五輪の英代表に-背負うIOCの期待

  • 都市型スポーツで若年層の関心喚起、ストリート文化と五輪の融合
  • 米ナイキや独アディダスもスケートボード分野へ進出

若者の五輪離れの対策として東京オリンピック・パラリンピックで初めて正式競技に採用されたスケートボード。この競技で世界の注目をさらうのは宮崎県出身の10歳の少女かもしれない。

relates to 宮崎生まれのスケボー少女、東京五輪の英代表に-背負うIOCの期待

スカイ・ブラウン選手

Photographer: Emily Shur for Bloomberg Businessweek

  インスタグラムでひときわ多くのファンを抱える世界最年少プロスケートボーダー、スカイ・ブラウン選手(10)。日本人の母と英国人の父を持つブラウン選手は2020年に開かれる東京五輪の英国代表候補に名を連ねている。10歳の少女とは思えないような難易度の高い技を披露するブラウン選手の動画には、何十万もの「いいね」が集まる。

  ブラウン選手はブルームバーグのインタビューで、スケートボードが五輪競技に追加されたことついて「とてもわくわくする」と話した。さまざまな技が会場で繰り広げられることは「とてもクールだし、観戦は楽しいと思う」と期待を膨らませている。

  国際オリンピック委員会(IOC)は18歳から35歳までの若年層が五輪への関心を失っていることに危機感を抱いており、若者に人気の高いスケートボードなど「アーバン(都市型)スポーツ」を正式種目に採用。16年のリオデジャネイロ五輪では、この世代の視聴率は少なくとも25%低下した。

  IOCのスポーツディレクター、キット・マコーネル氏はブルームバーグのインタビューで、若者の五輪への関心は「今もなお非常に高い」と述べ、若者の五輪離れを否定。一方で、「五輪を見る方法、視聴するコンテンツ、視聴するプラットホームは根本的に変わってきている」との見解を示した。

  ルールの中でフェアに競うオリンピズムを基本理念に掲げる五輪。競技というよりも、決まり事や常識にとらわれることを嫌うストリート・カルチャーのシンボル的存在でもあるスケートボードの文化とどう折り合いをつけるのかが若年層の支持獲得の鍵となる。

決められたユニホーム

  ファッションもスケートボードの文化を構成する重要な要素。スケーターは技だけでなく洋服やスケートボードのデッキ(板)のグラフィックなどでも個性を競う。しかし、国の代表として出場する五輪では好きな洋服を着用する自由はなく、選手は国ごと、競技ごとにそろえたユニホームに身を包むことが求められる。

relates to 宮崎生まれのスケボー少女、東京五輪の英代表に-背負うIOCの期待

カルフォルニア州・オーシャンサイドでの練習風景

Photographer: Emily Shur for Bloomberg Businessweek

  国際スケートボード連盟のゲイリー・リーム会長は東京五輪で選手が着用するユニホームについては「受け入れざるを得ない部分もある」と話す。詳細については明言を避けたが、「選手は彼らのチームや国を象徴するウエアを着用することになる」と述べ、規定が設けられることを認めた。

  世界の二大スポーツメーカー、米ナイキと独アディダスはスケートボード分野への進出を拡大しており、スケートボードチームとスポンサー契約を結ぶなど積極的な市場開拓に取り組んでいる。メインストリームのイメージが強い両ブランドに、スケートボード特有のエッジの効いたデザインを取り込むことで若者へのアピールを目指している。

  東京五輪では米国のチームはナイキを、ブラウン選手の所属する英国のチームはアディダスのウエアを着用する予定。両社のロゴは、同競技の会場となる有明アーバンスポーツパークで大きく存在感を発揮することになる。

露出の制限

  一方で、靴の製造などでスケートボード文化とともに成長してきた米アパレル会社VF傘下「VANS(ヴァンズ)」のようなブランドにとっては好機となりそうにない。五輪では公式スポンサーではない企業の露出が厳しく制限されているためだ。リーム氏は規制によって好みのブランドのウエアや靴が使用できなくなるなど、スケートボード選手個人にも影響すると予測している。

relates to 宮崎生まれのスケボー少女、東京五輪の英代表に-背負うIOCの期待

ブラウン選手はプロのサーファーでもある

Photographer: Emily Shur for Bloomberg Businessweek

  五輪競技への採用で薬物使用に対する懸念も高まっている。米国アンチ・ドーピング機構は五輪を前に薬物検査を試験的に実施。同機構は1月、薬物乱用規定に違反したコリー・ジュノー選手が6カ月間の出場停止処分を受け入れたと発表した。

  今ではスポーツとして定着したスノーボードでも、正式種目として新規採用された1998年の長野大会で薬物使用による騒動があった。男子大回転を制したカナダのロス・レバグリアティ選手は、試合後の検査で大麻の陽性反応が出たことから、一時的に金メダルをはく奪された。しかし、当時のIOCの規定に大麻に関する明確な処分規定が記されていなかったことから、最終的に処分は覆された。

  リーム氏は「スケートボードの強みは、大人に介入されることなく、スポーツを通じて自己を表現したいという若者たちの聖域」だったことだと述べた。五輪の正式競技となった今、スケートボードは「大人の世界に入ろうとしている」と同氏は受け止めている。

世界が注目の日本出身スケボー選手、スカイ・ブラウン
    最新の情報は、ブルームバーグ端末にて提供中 LEARN MORE