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【起債評価】国内劣後債、コールの可能性勘案した利率必要-日本生命

  • サンタンデール銀など海外金融機関ではコール見送りのケースも
  • ステップアップ金利幅と資本性評価の変化が注目点ー大和・大橋氏

長引く超低金利の運用環境で、相対的に利回りが高く投資家の需要を集めやすい国内劣後債の起債が増えている。こうした中で、劣後債の期限前償還を巡り、その可能性を勘案した利率設定にする必要があるとの声が出ている。

  劣後債には発行から数年後に発行体が期限前償還(コール)できる権利が付いており、初回コールまでの期間が債券の実質年限とみなされている。日本生命保険の土石川雅一クレジット投資部課長は「最近国内で発行されているハイブリッド債で気になる点はコールの蓋然性だ」と指摘。確実に期限前償還されるか分からないまま「コールを前提に値付けをしているのは違和感」があり、コールの確実性を勘案した利率が必要だと話す。

  足元では2月のサンタンデール銀行、2017年にはスタンダード・チャータードとクレディ・アグリコルなど海外金融機関がコールしなかった。初回コール時に発行時よりも信用力が低下していれば、新たに高いコストを払って調達するよりも期限前償還しない方が発行体にとっては合理性が高いこともある。

  前提を覆してコールを見送った場合、次回の資金調達が難しくなることがコール実行の担保になるという見方もある。しかし、大和証券の大橋俊安チーフクレジットアナリストは「この点を重視するのは危険」と指摘する。コールの確度を評価するポイントとして、ステップアップ金利幅の大小と資本性評価の変化を挙げる。「商品性、発行体の信用状況、今後の金利動向見通しを総合的に判断して、コール見送りも考えて投資しないといけない」と注意を促す。

超低金利継続で増える国内劣後債

事業会社の発行額

出所:ブルームバーグ

(2019年6月7日時点、銀行・保険・個人向けは除く)

  昨年はサントリーホールディングスの60年債が当初5年間の利率0.68%(YMS+57bp)と、1%を下回る銘柄でも起債額720億円に対し約7倍の需要が殺到した。一方、5月31日には武田薬品工業が同5年4カ月の利率1.72%(同+175bp)で5000億円を起債した。両債は、利率が10年後にプラス25bp、25年後プラス75bp(累計上乗せ100bp)と、事業会社の劣後債に多い初回コール時100bpのステップアップ金利がなく、この点だけ見れば期限前償還するインセンティブは低い。

  自己資本規制があり資本強化のために劣後債を発行する金融機関と違い、事業会社が劣後調達するのは、格付けを意識してのこと。劣後資金の一部は株式のように資本性が認められ、格付け評価上の負債を抑えるメリットがある。これを逆手にコールしなければ格付会社が資本性評価を下げることでコールを促すスキームも組み込まれている。スタンダード・アンド・プアーズ(S&P)は武田債に、日本格付研究所(JCR)は両債に50%の資本性を認めている。コール期限後はS&Pはゼロになるのに対し、JCRは25%の引き下げるにとどまる。

  土石川氏は「コールしなくても資本性が認められるようなスキームだとコールするインセンティブは低くなる」と問題点を指摘。その上で、蓋然性が低くてもそれを織り込んだプライスになっているなら問題ないが実際にはそうなっていないケースもあると話した。

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